買いだめ、非難合戦…コロナ禍ですさんだ気持ち「心の消毒、忘れてませんか?」ゆるキャラの漫画が刺さる

広畑 千春 広畑 千春

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。世を覆う暗いニュースと先が見えない不安に、マスクや消毒薬などの買い占めや、外出自粛を巡る世代間の非難合戦もなかなか終息の気配が見えません。そんな中…ツイッター上で「癒される」と人気を集める謎の生き物「お文具さん」の四コマ漫画が投げかけた言葉とは…。

 「お文具さん」は、白くてちっちゃい謎の生物。たくさん仲間もいて、疲れたり、凹んだりした人を、その姿と言葉で包みこんでくれるとツイッター上で話題を呼び、昨年春には書籍化もされました。

 そんなお文具さんは、首都圏で不要不急の外出自粛要請が出された今月28日のツイートに登場。コロナ禍を受け「消毒もしなきゃ、何か買っておいた方がいいかも」とテンパり気味の紫の子は、スーパーで大好きなプリンを1パック…いや「念のため」最後に残っていたもう1パックも買おうとしたところに、お文具さんと鉢合わせをしてしまいます。少し考えて、最後のプリンをお文具さんに手渡した紫の子。よ~く見ると、カートの中で、最初に取ったプリンさんにも笑顔が!!

 ツイッターのリプ欄には「癒されました」「こういうときに相手を思いやる心があるのって大切ですね」などと次々に反応が寄せられました。その思いを作者(お文具@imoko_iimo)さんに聞きました。

―周辺でも買いだめなどが起きていたのでしょうか。

「3月末の外出自粛要請直後は、パスタソースやレトルトカレーなどの品切れはよく見られました。買いだめが原因かどうかは店員でないので分かりませんが、数週間前までは箱ティッシュやトイレットペーパーの棚の品物は全てなくなっていました。箱ティッシュが無いのでネット通販も探し、それでも無くて大学の頃に実験でよく使っていたキムワイプ(拭き取り紙)も候補に入れて探しました(笑)」

―プリンを譲り合うようなご経験が?

「いえ、そうではないんですが、品切れになってしまうと言うことは、自分しか見えていない状態に多くの方が陥っているので、必要以上に買いだめてしまうのかなと思って…。メディアの情報を全て受け止めてしまい、ウイルス対策や自分の周りのことを完璧に固める一方で、意外と自分の心のケアや荒れ具合は気付いているのかな、と。コロナ以前の心と変わってしまってないですか?ということを聞いてみたかっただけなんです」

―これまでは時事問題を扱うことは避けて来られたとか。

「最初の頃は自分がふと気づいた事をイラストと共に書き溜めておく備忘録としてSNSを活用しはじめたのですが、投稿していくうちに見てくださる方が増え、多くの方からコメントを頂くようになりました。ですので、今までもこれからも、作品を通して何かを伝えたいというより、好きな時に好きな投稿を、見たい方が見てくださればという気持ちで投稿していきたいと思っています」

―カートの中で笑っているプリンに癒されたという声も多く寄せられました。

「この投稿で心の消毒が一人でも出来ていれば嬉しいです。ライブやイベントなど多くの楽しいことが中止されている世の中、普通の生活というのが一番の平和だと作者は思っています。一人一人のちょっとした我慢で普通の生活に少しずつ戻ってゆきます。何か行動を、の前に一度立ち止まってみるのも良いかもしれませんね」

 袖すり合うも他生の縁。相手にも自分にも、心にシュッとひと吹き、したいですね。

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