新型コロナ影響で売上7割減も…神戸のライブハウスが華麗なる逆襲へ 無観客ライブ配信で4店がタッグ

黒川 裕生 黒川 裕生

新型コロナウイルスの感染者が複数発生したことなどから、「感染の恐れがある場所」のひとつとして名指しされ、ここ1カ月ほど公演のキャンセルが続く全国のライブハウス。一向に収束の気配が見えない中、「嘆いていても仕方がない」と神戸の名物ライブハウス4店が手を組み、店の垣根を越えた初めてのイベントを企画している。4月14日に各店から無観客ライブを同時配信する試み、題して「ライブハウスジャッジメント in KOBE」だ。

発案者は、「神戸VARIT.」の南出渉さん。VARIT.では2月末頃からキャンセルが出るようになり、現状は「週1回ライブがあるかどうか」。3月の売上高は前年比で約66%減と大幅に落ち込み、4月も現時点で72%減はほぼ確実。今後の状況次第では、さらに減る恐れもあるという。それでも家賃は変わらず発生するため、チケット代やドリンク代を主な収入源とするライブハウスとしては、一言で「むちゃくちゃヤバイ」(南出さん)。

危機感を覚えた南出さんは、普段はライバル関係にある同じ神戸のライブハウス「ART HOUSE」「CHICKEN GEORGE」「music zoo 太陽と虎」に声を掛け、3月10日に各店の代表が集まる異例の“トップ会談”を実施。「何か面白いことができないか」とアイデアを出し合った結果、神戸から「ライブハウスは負けない」というメッセージを発信するため、無観客ライブを配信することになった。

「どこもVARIT.と似たような状況だけど、みんな自分のことよりも、コロナで仕事がなくなって大変なスタッフやミュージシャンのことを心配していた」と南出さん。「文化産業の下の方にいる僕らですが、地元のミュージシャンと一緒に、文化の一翼を担ってきたという自負がある。だからこそ、『仕事がないなら俺らがつくるべきや』というアイデアが出てきたんです」

14日は4会場から無観客ライブを配信する。現在、各ライブハウスがゆかりのあるミュージシャンと鋭意出演交渉中という。撮影と配信には映像制作会社「CINEMA-EYE」と名古屋テレビ(メ〜テレ)が協力。配信は課金制で、プラットフォームの整備を急いでいる。

当日は、パソコンやスマホの画面を通して「ライブハウスを回っているような感覚」でライブを楽しむことができる。同時に「ライブハウスっていいところ?わるいところ?」を視聴者がジャッジする趣向も盛り込むという。

現在進行形で深刻な打撃を受けながらも、「新しいアイデアを形にしていくのはなかなかできない経験で刺激的。実は久々にワクワクする気持ちもあるんです」と南出さんは言う。「配信を通じてこれからのライブハウスのあり方を模索しながら、コロナ・ショックを“コロナ・チャンス”に変えていければ。資金繰りは本当に大変ですけど、神戸にはこんなときでも明るく元気にやっていく土壌があることを全国に伝えたいですね」

配信方法や出演者などは今後、順次発表していく。情報は「ライブハウスジャッジメント in KOBE」のTwitterアカウント(@livehouse_jm)などで。

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