嘘みたいだろ…これ全部「牛」なんだぜ 参拝者が牛像を奉納する岡山の不思議スポット

黒川 裕生 黒川 裕生

文字通り山のように積まれた無数の牛像を見て、私は思わず「ひゃあ」と声を上げた。

岡山県備前市吉永町福満、田倉牛神社(たくらうしがみしゃ)。ちょっと不思議な場所があるという噂を聞いて訪ねてみたが、視覚的インパクトは確かになかなかのものだった。

牛神社のご神体は石で彫刻された牛で、その周りに積まれた備前焼の小さな牛は、氏子らによって奉納されたもの。それにしても数が多すぎる。いくつあるかは不明だが、地元では10万体とも20万体とも言われているそうだ。木々に囲まれた静かな場所で、やや異様な存在感を放っている。

掲示されている由来などによると、牛神社のはじまりは江戸時代の初期とみられ、当初は農耕馬や牛の病気平癒を祈願する農家が大半だった。だが昭和の初期頃からは、五穀豊穣や家内安全、結婚、就職など、“一般的”な願い事をする人が次第に増えていったという。

面白いのはお参りに関する独特の風習で、まずは鳥居の脇にある授与所で備前焼の牛像(1体1000円)を購入。ご神体がまつられている先ほどの場所で牛像を1体供え、すでに祈願者が供えた別の牛像1体を借りて帰る。大願成就の暁には、借りた牛像のお返しとしてもう1体の牛像を添えて倍返しのお礼参りをするのだという。

ただ、授与所で店番をしていた人によると、「奉納した」という手順さえ踏めば、自身が購入した牛像をそのまま持ち帰っても特に問題ないらしい。「大切なのは、お参りする人の気持ちです」

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普段からあつい信仰を集める田倉牛神社だが、お察しの通り、丑年には特に注目度が高まりがちだ。蛇足ながら、次の丑年は来年、2021年です。

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