「弊社お客様相談係によく寄せられるご質問」
「鞄やスーツケースについた正露丸の臭いの取り方について」
「率直に申し上げますと、正露丸の臭いをとる有効な方法はございません。臭いが強すぎました」
「洗濯できないものについた場合は、風通しの良い場所で陰干ししていただく他、手段はございません…。」
胃腸薬の代名詞的存在の「正露丸」を製造販売する大幸薬品が12月上旬、突如Twitterに投稿した「正露丸の臭いの取り方」があまりにも衝撃的だと話題になっている。要するに「臭いが強すぎるので諦めてくれ」ということらしいのだが、それに続く投稿もまた驚きの内容だった。曰く、「弊社社員は日々正露丸に囲まれているので、多少の正露丸の臭いは感じられなくなってしまった者が多いです」。確かに正露丸といえばあの独特の臭いでおなじみとはいえ、いやはやこれは大変なことになってしまった。
「とにかくすごい臭いです」と明るい広報担当
広報担当の中村さんによると、正露丸は大阪府吹田市にある吹田工場で製造しており、敷地内の臭いは相当なものらしい。「とにかくすごいです。そうですね、もう『すごい』としか言いようがありません」と明るく笑う中村さん。特に工場の建物内はあまりにも強い臭いが充満しているため、体中に臭いが染みついてしまった従業員たちは、工場の風呂に入ってから帰宅するのだとか。そ、そんなに!!?
ちなみに中村さんが普段勤務しているのは、大阪・本町にある本社オフィス。「もちろん私たちはここを“無臭”のオフィスだと思っていますが、来社された方に『大幸薬品さんはやっぱり正露丸の臭いがするんですね』と言われて『えっ』と驚くことがよくあります。大半の社員がデスクの引き出しに正露丸を常備しているからでしょうか…」。なんで常備。「誰かのお腹が痛くなったときに必要ですから」。なるほど……なるほど!?
正露丸の臭いの話になると止まらない広報担当
さっきから「正露丸の臭いがいかにすごいか」という話しかしていないのに、一度火がついた中村さんは止まらない。
「社内便で吹田工場から書類なんかが届くんですが、紙ってすごく臭いがつきやすいんですよ。だから書類からもやっぱりするんですよね、正露丸の臭い(笑)!」
「吹田工場に勤務する従業員は、自宅にも正露丸の臭いが染みついていると聞きました。離れて暮らす娘さんがたまに帰ってくると『やっぱり臭い』と言われるそうですよ」
「私たちが外部の方と名刺交換すると、『名刺から正露丸の臭いがする』と言われることがあります」
「吹田工場に取材で来られたメディアの人は、カメラから臭いが取れず困ったそうです」
「服についた臭いが気になって何度も洗濯しているうちに、臭いが取れたかな、と感じる瞬間があるかもしれませんが、それは慣れただけです。取れていません」
ストップ、中村さん!ストップ!!!
そうは言っても、中村さんも新人時代は「臭いな」と思いましたよね?
「それは忘れました」
忘れたんかい。
で、そこまですごい正露丸の臭いの正体は一体何なんですか?
「木(モク)クレオソートというお腹に作用する成分です。見た目は透明な液体なんですけど、これがもうすごい臭いでして(笑)」。…また始まった。
「今回、Twitterで大きな反響があったことには、実はこちらが衝撃を受けています。我々が普段当たり前だと思っていることが、外から見ると全然当たり前ではないんですね。『正露丸、大好きです』と好意的な反応が多かったことも嬉しく思っています」
どうしてかしら、今日はなんだかちょっと正露丸を買って帰りたい気分。