「助からないかも…」保護して病院通い 元気になって今では“かまってちゃん”な猫に

鶴野 ひろみ 鶴野 ひろみ

「この子は助からないかもしれない…」

 大の猫好きで、4匹の保護猫と暮らしていた愛媛県新居浜市在住の田中さん。2017年6月、バイト帰りに通りがかったコインパーキングのタイヤ止めの陰で、小雨の中、うずくまっている子猫を見つけた。夜だったこともあり、「運転手が気づかず駐車すればタイヤに押しつぶされてしまうのでは」と感じ、安全な場所に移動させようと子猫に近づいた。「逃げちゃうかな…と思っていたのですが、抱き上げてもぐったりしていて。放ってもおけなくて自宅に連れ帰ったのです」。

 しかし、家でごはんをあげても一向に口にしない。ただただ座布団の上で小さくうずくまり、体はかすかに震えていた。「目ヤニがひどく、鼻水は垂れたまま。体もガリガリで、毛もツヤがまったくなくてバサバサでした」。素人目にもわかる栄養不足。田中さんは翌日すぐに子猫を動物病院に連れて行き、ノミ駆除、目薬、寄生虫の検査のほか、胃の動きを活発にするという注射も打ってもらった。

 「先生が上手に口を開けさせてペースト状のおやつも1本食べさせてくれました。これで大丈夫だと思ったのですが、家に帰るとやっぱり何も食べられなくて…」。そこから田中さんと子猫の病院通いが始まる。「病院では何とか1本、ペースト状のおやつを食べられる。でも、家では相変わらず飲まず食わずで。この子は助からないかもしれない…、そう感じ始めていました」。そして4日目、それまで注射をされても無反応だった子猫が、ついに「ギャッ!」と声を出した。「これは…!と思いましたね。その日から、まるで別猫のようにごはんを食べ始めたんです!」。

今ではみんなのお姫様

 名前は「モモ」ちゃんと名付けた。「連れて帰った日、頂きものの桃の香りが玄関まで漂っていて。桃の季節に家族になったのでモモと名付けました」。

 モモちゃんはどんどん大きくなり、おもちゃが大好きなおてんばさんに成長。猫じゃらしで遊びたいときは、おもちゃの前に座って「ニッ!」と声をかけてくる。それでも遊んでくれないと、テーブルの上のモノを前足でどんどん弾き倒し、アピールをし続ける。

 「お姫様体質というか、とにかくかまってほしがりだし、甘えん坊なんです」。今では猫家族ヒエラルキーのトップにいると苦笑いする田中さん。「キャットタワーの最上段はモモの指定席ですし、猫たちに人気のビーズクッションもたいがいモモが陣取って寝ています。ストーブをつければ一番あたたかい正面に鎮座。まるでお姫様のような振る舞いに、名前にちなんでピーチ姫と呼ぶことも(笑)。ほかの猫たちも、なぜかモモには甘いですしね」。

 そういう田中さんも、モモちゃんには特別目尻が下がってしまう様子。「これまでたくさんの猫と暮らしてきましたが、こんなに話しかけてきて、人間のように甘えてくる子ははじめて。私を本当に母親だと思っているみたいで、嬉しくなってしまうんですよ」

 田中さんがベッドに入れば隣に潜り込み、毎日腕を枕にして熟睡。田中さんが起きれば一緒に起きて、片足をぐっと伸ばして「おはよう」の挨拶代わりにタッチしてくるのだという。先住猫たちともとても仲良しで、中でも年が近いリュウ君とは兄弟のようにいつも一緒に追いかけっこをして遊んでいるという。

「リュウを迎えて1ヶ月ほどだったので、モモに出会ったときは『これ以上は飼えないかも…』と正直迷いました。でも、連れて帰って本当に良かった。幸せそうな寝顔を見るたびに、わたしのほうが幸せな気持ちをもらっています」

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