北海道の馬房で生まれた5匹の子猫 残った白猫はおっとりとした飼いやすい猫だった

渡辺 陽 渡辺 陽

野良猫が出入りしていた馬房で、黒猫が子猫を産んだ。真冬だったが、馬の体温で馬房の中は温かく、牧場で働く人たちの手を借りて、子猫たちはすくすく育った。プルちゃんは、そのなかの1匹だった。

馬房で生まれた子猫たち

北海道に住む菅野さんは、馬の牧場で働いている。その牧場には、野良猫が何匹か出入りしていて、みんな人に懐いていた。2012年、1匹の黒猫が妊娠していることが分かった。

馬房で出産すると踏まれる可能性があるので、産箱を作り、わらや毛布を入れて出産に向けて準備をすると、2013年1月24日子猫が産まれた。5匹兄弟だった。黒猫が1匹、白猫が4匹だった。牧場で働く人たちは、ペットボトルにお湯を入れた湯たんぽを作って温め、ごはんをあげて子育てを手伝った。

ところが、子猫の里親がなかなか見つからなかった。それでも4匹は里親が決まり、最後に残ったのが白猫だった。きょうだい猫と交わらない感じで、他のきょうだいがエサを食べるのを後ろから見ていて、食べ終わってからくるような子だった。眼が少し悪かったようで、それが原因だったかもしれない。

母乳を飲んで、すくすく成長

モフっとした感じの毛並み。ブルーアイで、どこか焦点が定まらない感じだったが、菅野さんは、「私が引き取ります」と言った。これで子猫たちの引き取り先はすべて決まったが、すぐに譲渡するのではなく、生後2カ月になるまでは牧場で働く人が母猫の育児を手伝った。みんな母猫の母乳を飲み、すくすくと育った。

2013年3月、菅野さん宅にやってきた白猫は臆病で、少し震えていたので、お子さんがプルと名付けた。動物病院に連れて行くと健康で、眼も成長とともに治ってきた。

一緒に暮らしやすい子

「プルは、ものすごく優しくて、おっとりした感じの子です。人にシャーっと言ったり、ひっかいたりすることはありません。後にリリーという猫を迎えるのですが、その子にもシャーとかフーとか言いません」と、猫特有の威嚇行動もしないという。

おやつには見向きもせず、決まったものしか食べない、抱っこもあまり好きではなく、専用のベッドでひとりで眠る。お留守番もひとりで平気という猫らしい猫になったプルちゃん。とても飼いやすい子だという。3年ほど1匹の生活を楽しんでいたが、後輩猫のリリーちゃんを迎えてからは一緒に遊ぶようになった。遊び終わるとそれぞれ好きな場所で休む。気ままな暮らしを謳歌している。

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