解体される旧校舎に高校生が最後の落書き 「お母さんが使った校舎を使えて良かった」 

京都新聞社 京都新聞社

 学び舎(や)に最後の落書きを-。京都府向日市寺戸町の京都西山高で、12月に解体予定の校舎へ生徒がメッセージを記している。将来の夢や友への感謝。楽しかったことやつらかったこと。役目を終える建物に高校生活の思い出をつづっている。

 「お母さんが使った校舎を使えて良かった」。1年村上悠花さん(16)=京都市南区=は今月5日、教室の壁にこう記した。この学校を選んだ理由の一つは母が通っていたこと。「親子でこの校舎で学んだ。ありがとうの気持ちを込めました」

 解体されるのは1964年に完成した旧第一校舎。9月に完成した新校舎で生徒は授業を受けており、来月から工事が始まるのを前に学校が企画した。

 書かれているメッセージは「優しい保育士になる」や、ソフトボールの強豪校らしく「世界一の投手になる」といった将来の夢のほか、大好きな友達やアイドルの名前も。黒板はもちろん、壁や床、窓に色とりどりの文字が並んだ。

 旧第一校舎はホームルーム教室などが入っていた。2年長崎楓さん(17)=北区=は、クラスのみんなとなじめない時に、仲のいい友達が教室で迎えてくれたことが心に残る。新校舎で授業を受けている今も「この校舎の方が落ち着く」。全日制は女子校のため、2年吉田里瑠香さん(16)=伏見区=は「バレンタインデーは、みんなで手作りのクッキーやブラウニーを持ち寄って食べたのが楽しかった」と話すなど、思い出は尽きない。

 3年村田瑞季さん(18)=中京区=は1年の教室で落書きをした。「入学して最初はめちゃくちゃ緊張しながら校舎に入った。この教室で初めて友達ができました」。放課後は黒板に絵を描き、教室そばの廊下で合唱コンクールの練習をした。時には友人関係に悩み、教室に来たくない日もあった。「優しくて相談に乗ってくれる先生もいた。楽しかったことの方が多い」。だから村田さんは「みんなありがとう」と書いた。

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