お笑いコンビ、チュートリアルの徳井義実が個人事務所の申告漏れと所得隠しが判明して活動を自粛した。記者会見で徳井は納税意識について、「どうしようもなくルーズだった」と釈明した。サラリーマンなら問答無用で徴収されている税金。「ルーズだから」と払い続けないとどのような事態が待っているのか。歌手デビューも果たした元アイドルの平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。
自己破産しても税金は免除されない
Q 税金を払えないという法律相談はありますか?
A あります。ただ、お金のことで相談にいらっしゃる方は、たいてい多重債務状態ですから借金はまったくないけど税金だけ払えないという相談は少ないと思います。多くの場合は消費者金融その他からの借金があって、そのうえ税金の滞納もあるというパターンですね。
Q 税金を支払わないとどうなりますか?
A 延滞税、加算税などのペナルティが課せられます。また度重なる督促にもかかわらず未納が続く場合には、給与や預貯金、不動産等の差押えなどの処分を受けます。特に預貯金口座に対する差押えは、けっこう頻繁に行われる印象です。国や都道府県がわざわざ自分の銀行口座を探し当てるなんて面倒なことはしないだろうと思われるかもしれませんが、法的な仕組みが確立されていますから、行政にとってそう面倒なことでもないんです。ですから案外、容易に探し当ててきますよ。もちろん行政もステップは踏みますので通知内容の確認を怠らないことが重要です。
Q 税金の不払いで刑事事件にまで発展するのはどのような場合ですか?
A 大がかりな脱税であれば刑事事件化されると思います。この場合の脱税額は一説によれば億単位とされていますが、近年は必ずしも額によらず悪質さで判断するとも言われています。それにしても数千万単位ですから、一般の人が脱税で裁かれるというケースはまれでしょう。
Q 税金が払えなくて困っている人はどうしたらいいのでしょうか。
A まずは行政に対し、支払う意思があることを告げて分割納付の交渉をすべきです。督促が続いてから相談に行くのではなく、税金が払えない事情を早めにきちんと説明すれば、たいていは分割の相談に応じてくれるはずです。そのうえで、他にも借金を抱えているなら弁護士等に相談して債務整理することも考えたほうがいいでしょう。なお、自己破産を選択しても税金は免除されませんので誤解のなきように。