今年5月に滋賀県大津市で保育園児ら16人が死傷した事故で起訴された53歳の女が保釈中に出会い系サイトで知り合った男性をストーカーした疑いで9月30日に逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は1日、当サイトの取材に対し、逮捕の背景を解説した。
ストーカー規制法違反や脅迫等の疑いなどで滋賀県警捜査1課に逮捕されたのは、大津市の無職、新立(しんたて)文子容疑者。6月下旬に出会い系サイトで知り合った同県内の男性公務員(49)に対し、8月下旬から9月初めにかけて無料通信アプリ「LINE」で「ラインのやり取り全て見せる」などのメッセージを送ったほか、連絡を拒否するようになった男性の勤務先に電話をかけて「2人で話したい」「(ネット上に)写真をあげたらどうするの」などと接触を強要した疑い。警察の取り調べに対しては容疑を認めているという。
新立容疑者は今年5月8日、大津市で保育園児2人が死亡し、14人が重軽傷を負った事故で、安全確認をしないまま右折をした過失運転傷害の疑いで逮捕、過失運転致死傷の罪で起訴された。保釈後に出会い系サイトで男性とやり取りをし、ストーカー行為は公判中にしていたことになる。
反省の思いを感じさせない容疑者の行動に対し、大津市交通事故被害弁護団は「今なお癒えない被害者の苦しみを愚弄するものと捉え、深い遺憾の意を表明します」とコメントした。
小川氏は「出会い系サイトで知り合った男性とまだ直接に会っていなかったようですが、『ネット上に写真をあげたら…』等という脅迫の文言から、会う前に写真等の交換をしていたと考えられる」と推測。さらに「通常なら、ストーカー規制法ですぐに逮捕されことはなく、最初に警告とか中止命令があるのですが、今回は一発で逮捕されたということは、脅迫や強要という罪があったことを優先したということ。職場に連絡をしたり、『顔をさらす』といった強い文言があったことから、警察も積極的に介入したと思われます」と指摘した。
とはいえ、今回のストーカー事件は死傷事件の公判に影響はないという。小川氏は「ただ、事件的には全く違う事件であるので、公判には影響しないと思われるが、日時的に見て保釈後、間もない時期にストーカー行為を行っており、被害者遺族、関係者の心情を考えると全く反省等していないように思われる」と付け加えた。