―遊び方も違うんですか?
「ええ。もともと線香花火は、スボ手花火を香炉(線香立て)に立てて火を着けて遊んだのが名前の由来といわれ、その様子が浮世絵にも描かれています。だから西の花火は、風下に向いて先を少し上に向けて遊ぶと、よりきれいに楽しめます。一方、長手は、今一般的に遊んでいるように火薬を包んでいる側を下向きにして火を着けます。長手はスボ手より燃焼時間が長いのが特徴ですね」
―昔、スボ手がセットに入っていたことがありましたが、普通に下に向けてました…。ちなみに、線香花火を「長持ち」させる方法ってあるんですか?
「それは…無いに等しいですね」
―えっ!瞬殺?!
「はい。運と言いますか…」
―運?!いや、でも風とか持ち方とか、火のつけ方とか…何かないですか??
「うーん…。まあ、風は大事ですね。強ければ落ちてしまいますし、全くないと燃焼が進まないので、風下に向いて、そうっと息を吹きかけるとキレイに燃えるかもしれません。あとは、一般的な長手花火なら、真下に向けるよりも、気持ーち斜めに持つ方が、包み紙と火薬の接地面積が増えて、少しは支えてくれるかも…」
中国などからの輸入品が多くを占めるようになり、いまや「スボ手」の線香花火を製造するのは国内で同社だけ。「長手」でも3社だけといいます。同社では、あえて粋を極めた高級線香花火を作り、注目を集めています。
線香花火は、小さいながら「つぼみ」「牡丹」「松葉」「残り菊」の4種の姿を見せ、その十数秒は「人の人生のよう」とも言われます。小細工は無粋、ということでしょうか…。よし、次こそは…!!