ある飼い猫の母猫が2回出産した。同時に生まれたわけではないが、仲が良かったきなこくんとあんこくん。一緒に譲渡されて、その後も仲良く育った。
縁あって迎えた2匹の猫
神奈川県に住む山本さんの友人が飼っていた猫は、恋の季節になって妊娠した。1歳だったので、そろそろ不妊手術をしようと思っていたところだったが間に合わなかった。2007年6月と10月に、数匹の子猫を産み、山本さんの妹のところに3匹譲渡、山本さんは、2匹の子猫を譲渡してもらった。
山本さんは、当時、東京都で一人暮らしをしていたのだが、30歳を過ぎて、自分の楽しみのためだけに生きる時期を過ぎ、何かの世話をしたいと思っていた。猫が6月に出産した時に、「子猫が産まれたけど、どう?」と言わたので、トイレトレーニングが終わったら1匹譲渡してもらうことにした。そうしているうちに、「また妊娠したので、もう1匹飼えないかな?中絶することもできるけど、どうしようかと思って」と相談された。中絶はさせられないという思い、1匹より2匹のほうが飼いやすいとも聞いていたので、もう1匹引き取ることにしたという。
先に生まれた子がきなこくん、後から生まれたのがあんこくんだった。2匹は異父兄弟だが、一緒に生まれた兄弟のようにいつも寄り添っていたので、一緒にもらうことにしたという。
好奇心旺盛な子猫たち
山本さんは、男の子がいいということは伝えていたが、縁を感じていたので、実際に譲渡してもらうまで写真を見ることもなく、どの子猫にするか友人に選んでもらった。友人の実家のお母さんが、普通のキャットフードを食べられるようになるまで育ててくれました。「後から生まれたあんこくんたちが母猫のお乳を吸っている時、きなこくんが、ひとまわり大きな体でおっぱいを吸っている姿が微笑ましかったですね」
あんこくんが生後2、3か月の時、きなこくんが生後半年くらいの時に、2匹は山本さんのところにやってきた。「2匹を見た第一印象は、『まあ!可愛い!』でした」
きなこくんもあんこくんも、まったく臆することなく部屋中を探検して、毎晩運動会をした。家のものを次々なぎ倒すため、元気な猫の動きに合わせて、家具などのレイアウトも変えて行ったそうだ。
あんこくんロス
「私は、仕事が忙しかったのですが、うちに来る前からいつも2匹一緒にいたので、追いかけっこをしたり、じゃれたりして遊んでいました」
少し成長すると、それぞれ性格が際立ってきて、きなこくんは、最初の印象のまま好奇心旺盛で、遊んで、遊んでという感じだった。あんこくんは、いつも人や猫と一緒にいるわけではなく、ひとりでいたい時もある子だった。
2017年の初夏、あんこくんは膀胱がんで体調を崩し、手術は成功したものの、10歳1カ月の時に腎不全で亡くなった。
あんこくんがいなくなると、きなこくんは赤ちゃん返りした。
「私も立ち直れないくらい落ち込みましたが、きなこは私よりもずっと長い時間あんこと一緒にいたので、ショックだったのでしょう」
ずっと鳴いて、鳴いて寂しがったきなこくん。山本さんがお風呂に入ろうとすると一緒についてきて中に入りたがるので、浴槽の半分、風呂フタをすると、その上でくつろぎ、30分でも1時間でも半身浴のお付き合いをしてくれた。眠る時も体をギューッとくっつけて眠っていたという。