猫好きの人の庭に現れた親子の猫。母猫は、ふいに姿を消してしまった。お腹をすかせて鳴いていた子猫たちを保護し、まるで我が子のように育てた畠さん。1年前に保護した庭猫の虎太郎くんも、すっかりなついている。
金環日食の日に出会った子猫たち
2012年5月21日、その日は129年ぶりに金環日食が見られると全国各地で話題になっていて、埼玉県に住む畠さんも金環日食を見るために庭に出てみた。
「まさか猫がいるとは思わなかったのですが、ニャアニャアという子猫の鳴き声がしたので探してみると、庭の片隅に母猫と2匹の子猫が一緒にいたんです」
2匹の猫を飼っている猫好きの畠さんは、しばらくそのまま親子を見守ることにした。
このまま無事に育つといいなと思っていたら、6月4日、子猫だけがお腹をすかせて鳴いていた。母猫はどこかに行ってしまったようだった。
畠さんは、先住猫のこてつくんを育てた時に使った哺乳瓶と猫用ミルクを持っていたので、すぐに子猫たちに飲ませた。1匹の子猫は、ごくごくと元気にミルクを飲んで鳴き止んだ。もう1匹の子猫は、衰弱していたのでスポイトを使って流し込むように飲ませてみた。「ミルクがほしい」と言うのだが、なかなか上手に飲めなかったという。畠さんは、1ヶ月半もの間、昼夜を問わず子猫たちに2、3時間おきにミルクを飲ませて成長を見守った。
兄弟だけど性格は真逆
畠さんは、元気な子猫をじゃんくん、ミルクを思うように飲めなかった子猫をまめくんと名付けた。2匹一緒に譲渡してほしいという人もいたが、譲渡する気にはまったくなれなかったという。まめくんは鳥か何かに突かれたようで、肛門から少し腸が出ていて、尿が出るところが壊死していた。獣医さんに、「うまく治って組織が再形成されるといいけど、少し様子見ましょう」と言われたが、結局うまくいかず、「このまま治って、皮膚が繋がってしまうと尿道が塞がって排尿が出来なくなる。体力は心配だが、このままにしておいてもどのみち衰弱してしまうので、イチかバチか手術してみましょう」と言われた。手術は成功して人工尿道をつけたが、どうしてもおしっこが出てくる下腹が気になってなめてしまう。お腹の皮膚がただれてしまうので、留守番の時や夜間はカラーをつけていた。ところが、畠さんが100均で買った手ぬぐいで腹巻きを作り、吸水ハンカチをオムツ代わりに挟んであげたら、まったく気にならなくなったようで、肌荒れしなくなった。
兄弟でもまったく性格が違っていて、じゃんくんはおっとりした性格で、ごはんもゆっくり食べる。まめくんは、単純で、はっきりした性格。じゃんくんが猫エイズなので、あまり一緒に遊ぶことはできない。