力尽きて鳴くこともできなかった子猫、猫好きな人に保護されて甘えん坊の猫に

渡辺 陽 渡辺 陽

MUFASAくんは、親子でいたはずだったが、はぐれたのか、母猫に突き放されたのか、1匹でいるところを保護された。鳴くこともできないほど弱っていたが、猫好きな人に保護されて、幸な日々を送っている。

力尽きて鳴くこともできない子猫

 東京の通称“環七”という大きな国道の近くの住宅地。2012年2月、親子の猫がいると噂になっていた。大雪が降った翌日、子猫を拾った主婦たちが集まって、「どうする?」「うちでは飼えない」と押し付けあっていたところ、近くに住む松川さんの長男が、たまたま教習所の帰りに自転車で通りかかった。すると主婦たちは、息子さんの自転車の前かごに半ば強制的に子猫を入れた。息子さんは困ったなと思いつつも、子猫を捨てられず、そのままリュックサックに入れて帰宅した。

その日は、松川さんの次男の高校の合格発表の日でもあり、以前から、合格したら猫を飼ってもいいということになっていた。ペットショップで猫を飼おうか、誰かに子猫をもらおうかと考えていたところに突如現れた子猫。動物病院に連れて行くと、ひどい猫風邪をひいていたこともあり、「どうしますか」と獣医師に尋ねられた。

「どうしますか」というのは、「うちの子」として治療するのか、里親を探すのか、手放すのかということだ。どうするのかによって治療や検査も変わってくる。松川さんは、「うちの子」にすることにした。

ボロボロだったが元気に

大雪が溶け出した後の泥水で汚れたのか、茶トラの子猫は、縞模様が分からないほど汚れていた。正月くらいに生まれたようだが、栄養不足でかなり小さく、力尽きて鳴くこともできないような状態だった。猫風邪とはいうものの、鼻水で鼻の穴はふさがり、目やにで目も開かないような状態だった。あまりにもひどかったので、最初に診察してもらった動物病院では、「命の保証はできない」と言われた。

数日おきに通院したが、2カ月を過ぎたあたりから下痢をし始めた。通いやすい動物病院に転院して治療した。点滴をしながら離乳食を食べさせる日が続いたが、治療のかいあって元気になった。

甘えん坊のMUFASAくん

MUFASA(ムファサ)くんと名付けられた子猫は、人の気配が感じられないと鳴き始めるので、松川さんは、家事をしながらパーカーのフードやポケットの中にMUFASAくんを入れていた。

MUFASAくんは寂しくて鳴くだけでなく、長時間留守番をするたびにウールサッキングをするようになった。ウールサッキングは、サッキング(しゃぶる)という名の通り、柔らかい布やビニール袋などを噛んだりしゃぶったりして食べてしまう行動だ。猫用の布団やベッドを誤飲して、2度入院した。いまはウールサッキングはしなくなったが、長時間留守番させると粗相をする。

松川さんは、ストレスがたまらないように、家にいる時は、スキンシップをたくさんしたり、おもちゃで遊んだりするようにしている。室温やごはんにも気を配り、特に、人間の赤ちゃんにごはんを食べさせるように、お箸でごはんを食べさせるのを楽しみにしている。

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