三つ子の子育てに必要なものは、ぜんぶ3つ。洋服も、パジャマも、おむつも。おもちゃだって、全部3つ必要です。おなかがへるのも、眠くなるのも、泣きたくなるのも、全部3つ。ほぼ同時にやってきます。大変だけど、愛おしさも3つ分。現在高校生三つ子の母が、当時の子育てや、いまの三つ子ちゃんを取り巻く環境などをご紹介します。
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赤ちゃんを授かったとき、私はたぶん人生で一番忙しく働いていたころだった。夫と一緒にはじめた小さな会社がようやく軌道に乗りかけて、一緒に働いてくれる仲間たちもいた。仕事をすることがとても楽しいと感じていたので、仕事と育児のバランスをどうするのか、いろいろ悩んだ。どっちかを選ぶなんてできない。そんな私が考えた解決策は、子育てをサポートしてくれるベビーシッターさんを見つけることだった。仕事では妊娠中から動くことを制限されていたため、ふだんの半分程度しか働くことはできない。あとは仕事場のみんなに助けてもらいながら、自分にできるところを担当させてもらい、なんとか仕事をこなしてきた。子育ても、私の足らない部分をサポートしてくれる人がいれば、なんとかなるのでは、と考えていた。
知り合いや、行政などいろんな所に声をかけ、双子ちゃんのお宅でベビーシッターをされていたSさんを紹介してもらい、子どもたちが退院後すぐベビーシッターをお願いした。
双子の育児経験があるSさんはとても頼もしく、「もうダメだぁ〜」と私が崩れ落ちそうなときも、軽やかな声で笑いながら効率よく家事と育児をこなしてくれた。なにより、頼りにできる人が家に来て育児をサポートくれるという状況に、ずいぶん気持ちが救われていた。
Sさんがお休みのときには近所のママにもサポートをお願いした。地元に密着したニュースにも詳しく、児童館の使い方や幼稚園バザーの参戦方法など役立つ情報をいろいろと教えてもらった。
子どもを他の人に預かってもらうことに抵抗がなかったわけではない。泣きながらしがみついてくる3人を振り切って家を出たあと「子どもたちをこんなに泣かしてまで、私が今この仕事をする必要があるのか?この仕事は他の人でもできるけど、母親は私だけなのに、これでほんとうに良かったのか?」と何度も自問自答した。
どっちが正しかったのか、今でもよくわからない。だけど、三つ子がいるけど仕事に行きたいという私をサポートしてくれ、一緒に子育てを手伝ってくれたSさんや先輩ママたちには、感謝の気持ちでいっぱいだ。
三つ子の場合、赤ちゃんの間は母親ひとりだと子どもたちと出かけることができず、どうしても家の中で孤立しがちだ。私は、家族以外の人が家に来て一緒に子育てを手伝ってくれたことで、子育てについての心配事などを聞いてもらうこともできたし、何より気分が晴れた。
もしも今、子育てで疲れたなぁと感じているママがいたら、まわりを見渡してみてほしい。親身になってアドバイスしてくれる先輩ママやサポートしてくれるボランティアさんが近くで見つかってほしいと思う。