実際に使ってみた。先端のノズルを開けてお尻に近づけ、約45度の角度で、ポンプの部分を指で押すと…。
水が来た。水と空気が混ぜ合わされてポンプから噴射。すぐ指を離すと、容器に内圧がかかって空気が入る。再び押す。残った水が噴き出す。その繰り返し。数回にわたって、少量の水でもそれなりの水量感覚と水圧を感じることができた。
1986年と87年に、記者はインドやネパールなどに長期間滞在し、公衆トイレを使う時は便器脇にある水道蛇口から備え付けの空き缶に水を貯め、現地の慣習に従って左手で直接洗った。当時はシャワー式便器を使った経験も皆無だったので、それほど神経質にもならず、現地でトイレットペーパー1巻の値段が安宿の相部屋ベッド代1泊分より高かったこともあり、郷に入っては郷に従った。
その30年後、同社の社員は海外のトイレ事情を元に発想し、携帯の使い切りお尻洗浄器を世に出した。その背景には「シャワー式便器のない生活にはもう戻れない」といった共通認識が、日本で完全に浸透した時代背景があるといえるだろう。