ユニバーサルミュージックが「入手困難盤復活!!」と銘打って3月14日にCDで65タイトルをリリースした「HR(ハードロック)/HM(ヘビーメタル)1000」の総売上数が、発売2週間で5万枚突破と、発売元も驚くヒットになっている。
同シリーズは、同社でいえばボン・ジョヴィやガンズ・アンド・ローゼズなどのビッグネームではなく、廃盤や製造中止、限定盤での発売といった理由で入手が困難になり、なおかつ根強い支持や再評価のため中古市場でも品薄となっていたHR/HMの“裏名盤”を1000円(税抜)で再発したもの。
ユニバーサルの担当者は「超名盤ではなく、廃盤になっていたり、輸入盤にもなっていなかったり、欲しいけど市場にないという確度の高い65作品を、200くらいの候補から厳選しました」と、判断基準を説明。中古市場で「万がつくものもあった」という。
売り上げ1位になっているLAメタルバンド、アーマード・セイントのサード・アルバム「レイジング・フィアー」(1987年発表)は95年に日本でだけCD化され、その後は日本でも海外でもCD化されておらず、20年以上、市場に出ていない。他には伝説のドラマー、カーマイン・アピスが率いた米国のキング・コブラや米国のマノウォー、カナダのヴォイヴォドといったバンドの作品に人気が集まっている。
売れ行きは担当者も「出した瞬間から、待ってました!みたいな反応で、最初のお店からのオーダーの倍以上は動いていて、まだ止まっていません」と驚くほど。採算分岐点も早々に「クリアしています」という。
ヒットの理由は作品選びだけではない。
HR/HMは根強いファンが多いジャンルで、そのファンは配信が常識の若い世代と異なり、「物を買うことにそんなに抵抗がない世代」でもある。
CD不況と言われる昨今、ボーナストラックを入れたり、DVDやブルーレイを付けたり、デラックス・エディション化したりといった「付加価値をつけて出す方がいい場合もある」が、今回は希少盤を手軽に聴きたい層向けにシンプルな形でリリース、「まとめ買いしやすく」したことも功を奏した。
担当者の「物によって、価格と市場のニーズをみて出すと受け入れられます。今回、ポイントを絞って出したら受け入れられました」という言葉は、音楽CDに限らずヒット商品の基本を示していると言えそうだ。