私の学位論文のテーマは「緑茶で発がんを予防する」というもので、私は緑茶の研究で博士号を戴きました。緑茶に含まれるエピガロカテキン・ガレートという物質を毎日半数のマウスに飲ませ、残り半分には水道水を飲ませる。で、発がん剤を週に一回皮下注射して、半年間飼い続ける。最後にどのくらいのマウスにがんができているか調べる。
簡単に言うとこれだけのことなんですが、私たちの研究グループが行った数々の動物実験でも、世界中の研究機関が共同して何百万人という人を追跡調査した結果もほとんど同じ「一日十杯の緑茶を飲む人は、そうでない人に比べてがんに罹患する率は3分の1」でした。
喫煙・飲酒や食習慣など、統計学的補正が必要とはいうものの、ざっくりと、緑茶をたくさん飲めば、がんに罹るリスクが3分の1になる、ということです。この一連の研究の発端は、静岡のある集落に虫歯の人が1人もいない、ということを聞いた学者先生がその理由を調べに行くと、その集落の人は歯磨きの後に緑茶で口をゆすいでいたという事から始まります。