森田さんがこだわったのが素材として使うパンそのものの美しさ。とりわけバゲットやバタールなどのフランスパンは上部に複数あるクープ(割れ目)の均一さと、クープの境目のエッジの立ち方がライトとしての出来映えを左右するという。多くのベーカリーが集まるパンの街・神戸の店を回り、理想のパンを見つけた。
そのベーカリーの店長は3年前、直談判にやってきた森田さんの依頼に驚いたが、“安定供給”を約束。仕入れの日は、焼きあがったパンの中から「見た目がきれいなものを厳選している」という。「おいしいだけでなくきれいなパンを作ることを体で覚え込まされた」という店長はつい先日「我ながらきれいにできた」バタールを森田さんに渡し、自分用にライトの製作を依頼したという。
森田さんは昨年、「パンプシェード」をフランスで開かれたインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展。現在、フランスをはじめ6カ国のインテリアショップなどで販売されるまでになっている。「すごくきれいなパンと本場でも驚かれる。パンに慣れ親しんだフランス人の笑顔を見てあらためてパンの持つ力を感じている」。これからも「パンプシェード」づくりに励む。