クッペ、クロワッサン、バゲット、バタール…。さまざまなパンをかたどったインテリアライトを何も知らずに目にした人は、一様に「本物?」とつぶやく。それもそのはず、このライトは正真正銘、食べるパンを使って作られているのだ。
制作者である森田優希子さんが営むモリタ製パン所(神戸市)のアトリエを訪ねると、あるベーカリーの店名が入ったパンの運搬箱が重ねられていた。仕入れたパンはまず中身をくり抜き「おいしくいただいて」から乾燥。さらに腐らないようコーティングした後、LEDライトと電源スイッチをつけて完成する。
森田さんは学生時代、パン屋でアルバイトをしていた時に「おいしさだけではなく、見た目の優しさで人を笑顔にする力がある」パンの不思議な力にひかれた。売れ残ったパンを使って創作活動を開始。ある日、パンに透けた陽光の温かさに打たれ、ライトの創作に専念するようになる。卒業後は寝具メーカーで商品デザインを担当していたが、商品化への思いが募り、退職してアトリエを開設。「パンプシェード」の名前で商品化した。