咳嗽、喀痰、喀血、血痰、癌の随伴症状などがあれば、胸部レントゲン、喀痰細胞診、胸部CTなどを施行し、腫瘍マーカーなどの血液検査も併用します。喀痰細胞診は、癌の存在部位により、陽性率は低いとされており、肺癌が疑わしい場合は、気管支鏡などのカメラを用いて、部位に応じた細胞の採取を施行し確定診断の一助とすることもあります。胸部レントゲンだけでは、発見が困難なことが多く、このことが肺がん治療を困難にしている一因です。
実際には胸部レントゲンを毎年施行しても肺がんのリスクは軽減することができないとの報告もあります。私の医院でも6ミリ大の早期の肺がんで手術を受け、現在も元気に過ごしている人もおられれば、胸部レントゲンを施行していても、多臓器浸潤の症状で発見され、すでに末期の肺がんで緩和ケアのみ施行された患者さんもおられます。お二人とも確定診断は胸部CTでなされており、胸部レントゲンだけでは、ともに発見ができなかった症例です。
最近まで、他に2人の患者さんが、肺がんと戦っていましたが、一人の患者さんは、戦いの末、鬼籍に入られました。1ミリ以下の肺がんをレントゲンで見つけることはまず困難ですし、大血管や心臓に隠れて見えない肺がんもたくさん存在します。レントゲンだけでは発見が困難なことが多く、喫煙などで不安を感じている方は、人間ドック等で胸部CTを受けることをお勧めします。