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材木としては価値がないけれども……移住者社長が考案 京都の高級ホテルや万博会場でも採用されることに

京都新聞社 京都新聞社

 京都産香料の開発に取り組む小川まことさん(62)=京都府福知山市。

 高熱の水蒸気で揮発したヒノキの油分が冷却管から滴る。天然エッセンシャルオイル(精油)を製造販売するアルヴェアーレ(福知山市下佐々木)の工場では、精油が力強い香りを放つ。元となったヒノキは間伐材。「森の恵みを暮らしの中へ」。廃棄される木材に新たな価値を加え、資源の循環に取り組む。

 北山杉など京都産の植物を中心に、9種類の精油を製造する。複数の精油を調合し、丹波の森や由良川の清流をイメージした香りに仕上げる。福知山観光協会の推奨土産品で、福知山駅の観光案内所にも並ぶ。

 2020年に福知山市に移住し、ブドウ農家を志した。耕作放棄地を開墾する際、裏手のヒノキが日差しを遮っていた。材木としての価値がつかない木々に光を当てようと、京都市の精油生産者から蒸留法を学んだ。2020年に会社を設立し、社長に就いた。

 製法には化石燃料を使わず、間伐材を燃料に沢の水で蒸留するなどこだわる。大学生らと連携し、クラウドファンディング(CF)にも挑戦した。徐々に認知度が広がり、ヒノキやクロモジの精油がヒルトン京都(京都市中京区)のスパで、マッサージオイルに採用された。昨年の大阪・関西万博では、京都ゾーンで森林浴を演出する香りを提供する機会にも恵まれた。

 「身近に眠る素材に価値を与えたい」。酸味が強く、食用には不向きな夏みかんや、廃棄されるオレンジの果皮を活用した石けんやボディークリームも開発した。

 蒸留後に残る木片や果皮も肥料としてブドウづくりに生かす方法を模索する。根っこにあるのは「もったいない」という思い。「捨てずに活用する循環の発想を波及させて広げたい」と今後を見据える。

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