「このままでは事故が起きる」
山陽自動車道を走行していた大型トラックの長距離ドライバーが、路肩から追越車線まで蛇行する軽自動車を目撃しました。110番通報した上で、ハザードやLED発炎筒を使って後続車に注意を呼びかけながら、約30キロメートルにわたって追走。軽自動車は途中、トンネル内の壁に接触しながらも走り続けたといいます。
当時の様子をXに投稿したのは、大型トラックの長距離ドライバー「星の砂時計」さん(@hoshinosuna72)。緊迫した状況について詳しく聞きました。
前方の軽自動車との車間距離が急に縮まる
この日、星の砂時計さんは、山形県長井市から福岡県八女市まで電気機材を運ぶ中継輸送の途中でした。
山陽自動車道下り線を時速85キロほどの一定速度で走行していたところ、広島県の大野インターチェンジ付近で、前を走る軽自動車との車間距離が急に縮まったそうです。
「軽自動車は、路肩から追越車線までをフラフラと蛇行していました。高齢者マークも確認できたので、注意しなければならないと感じました」
軽自動車は、周囲を走る車両にも接触しかけていたといいます。星の砂時計さんは「早急に警察に対応してもらわないと危ない」と判断。ハザードを点灯させ、110番通報しました。
警察には、軽自動車が蛇行して事故を起こしかねない状況にあることに加え、ナンバーや車種、車体の色などを伝えました。
時速90キロほどまで加速した直後、40キロ以下に減速
現場は、広島県警から山口県警へと管轄が変わる県境付近でした。広島県警の警察官からは、危険な軽自動車に近づかず、離れるよう指示されたといいます。
しかし、軽自動車の蛇行は激しく、星の砂時計さんは十分な車間距離を確保した上で後方を走りました。
ハザードを点灯させるとともに、点灯したLED発炎筒を使って後続車へ異変を知らせたそうです。
「警戒せずに通常の速度で軽自動車の横を通過しようとすれば、接触事故が起きるのではないかと思いました。事故を防ぐとともに、蛇行している軽自動車の運転手さんを守るためでもありました」
軽自動車は、時速90キロほどまで急に加速したかと思えば、突然時速40キロ以下にまで減速。低速での蛇行を繰り返したといいます。
星の砂時計さんは、あらためて110番通報し、危険な状況を報告。その後、山口県警の高速隊から連絡があり、現在地などを伝えました。
追越車線の車に接触しかけ、トンネルの壁にも衝突
星の砂時計さんによると、大竹インターチェンジから山口県岩国市の玖珂パーキングエリアまで、追走した距離は約30キロメートル。その間も、軽自動車は何度も追越車線を走る車両に接触しかけたほか、トンネル内の壁にも車体を接触させたといいます。
「ずっと緊張した状態が続きました」
やがて軽自動車は玖珂パーキングエリアに入り、駐車枠に停車。運転していた男性は、窓を開けるとすぐに眠り始めたそうです。
星の砂時計さんが山口県警の高速隊へ到着を報告すると、「急いでパトカーを向かわせていますので、軽自動車を見ていてもらえますか」と頼まれました。
しばらくして、サイレンを鳴らしながら緊急走行する覆面パトカーが到着。星の砂時計さんは、自身が通報者であることを警察官に伝え、撮影した動画を見せました。
警察官は蛇行運転やトンネル内の壁に接触した場面を確認。動画の一部を記録したといいます。
軽自動車には複数の接触痕
警察官から事情を聞かれた男性運転者は、「疲れていたので、頑張って運転してきた」などと話していたと、星の砂時計さんは振り返ります。
軽自動車のフロントバンパーは外れかけ、車体には複数の接触痕があったそうです。星の砂時計さんが目撃し、動画にも残っていたトンネル内での接触について、警察による事故処理が行われました。
「疲れや眠気を感じたり、あくびが出たりしたときは、パーキングエリアやサービスエリアで休憩してほしいです。疲れた状態で運転を続けることは大変危険です」
「譲り合いと助け合いの気持ちを忘れないで」
毎月約1万4千キロメートルを走行するという星の砂時計さんは、これまでにも道路上で困っている人を何度も助けてきました。
玖珂パーキングエリア付近でツーリング中のライダーが転倒した際には、トラックを停め、発炎筒を使って周囲の安全を確保。上信越自動車道で事故車を見つけたときも、けが人の有無を確認し、高速隊が到着するまで後続車に注意を促したそうです。
また、一般道で動けなくなった車を安全な場所まで押して移動させ、修理やレッカー車の手配を手伝ったこともあるといいます。
こうした経験から、道路上で危険を発見した際は、状況に応じて110番や道路緊急ダイヤル「#9910」へ速やかに連絡することが重要だと話しています。
「高速道路はみんなの道路です。みんなで安全な状態を保ちながら運転しなければなりません」
そして、ハンドルを握るすべての人に、こう呼びかけました。
「『譲り合い』と『助け合い』の気持ちを忘れ、誰かを急かしたり、焦って運転したりすれば、大切な人やものを失う事故につながりかねません。急がず、焦らず、安全第一で運転してほしいと心から願っています。皆さま、ご安全に」