「初めてのお水」--。そんなテキストが添えられた子猫の動画が、Instagramで多くの人の心を温めています。
登場するのは、黒猫の「まにちゃん(女の子)」、キジトラの「すぅくん(男の子)」「りりちゃん(女の子)」、キジ白の「なぁくん(男の子)」の4きょうだいです。
動画は、まにちゃんが初めてお水を飲む姿から始まります。口に含んだ水をこぼさないよう顔を上げ、噛みしめるように一生懸命に飲み込むまにちゃん。その後、4きょうだいみんなが同じ器から水を飲む姿が映し出されます。
うまく飲めず、鼻に水が入ったりくしゃみをしながらも、諦めずに水を飲み続ける4匹。生きようとするその姿に5.4万件超のいいねが集まり、「愛おしさに涙が出ます」「尊すぎる」などの感動の声が寄せられました。
何度も危機を乗り越えた4兄妹
個人で猫の保護活動をしている投稿者の「みやこねこ(@bunyapon0110)」さんによると、撮影当時、4匹は生後22日(推定)くらいだったそう。生後10日ほどで低体温・低血糖の状態で保護され、みやこねこさんが懸命に命をつないできました。
「体温を奪う可能性があるため、ノミ駆除剤を使うことができず、コームで1匹ずつノミを取り除きながら授乳をしていました。みんな飲む力が弱く、1回の授乳に1時間半ほどかかる状態でしたが、動物病院でカテーテルによる授乳方法を教えていただき、何とか育てていきました。危険な状態になって病院に駆け込むこともしばしば。でも、小さな体で何度も危機を乗り越えて、大きくなっていきました」
人工ミルクが体質的に合わず、下痢が続いていたという4きょうだい。動物病院の指導のもと、少し早めに離乳食を開始し、それと並行して水を入れた器を置いていたところ、ある日突然、4匹がそれぞれ水を飲み始めたそうです。
「みんなで一緒にお水を味わっている姿が本当に可愛くて、思わず動画を撮りました。『こんなことができるようになったんだ』という驚きとうれしさで胸がいっぱいになりましたね」
300頭以上をお世話してきた12年間に一区切り
4匹は現在、それぞれ「ずっとのおうち」が決まっています。
そしてみやこねこさんは、この4匹を送り出すと同時に、12年間続けてきた保護活動を終える予定だそうです。
「2014年に初めて乳飲み子を保護してから手探りで個人の保護活動を始めました。里親さんにつなげたり、TNRを施した子は300頭以上になります。どの子にも大変な思い入れがありますが、特に乳飲み子は、ミルクを飲めた、排泄ができた、目が開いた、ご飯を食べた…、その一つひとつに感動し、たくさんの幸せをもらってきました」
しかし保護活動は、シビアな現実と隣り合わせ。成猫の人慣れや里親探しは簡単ではありません。
「特に乳飲み子のお世話は昼夜関係なく授乳が必要なため、睡眠不足から体調を崩すこともありました。そこに年齢を重ねたことによる体力の衰えも加わり、以前のように体が動かないと感じることが増えてきました」
そうした体調の変化に加え、みやこねこさんにはずっと抱えていた葛藤もありました。それは、自身の家族や、さまざまな事情で家族に迎えた猫たちに時間を使えていないということ。
「我が家には、3年前から骨形成不全症を発症した介助が必要な猫もいます。さらに、飼い猫がシニア期に入ったこともあり、このまま保護活動を続けると、どちらのお世話も中途半端になってしまうという思いが大きくなっていきました」
「お世話する猫の頭数、自分の体力、家族との時間、保護活動を手伝ってくれる家族への想い…、いろいろなもののバランスが合わなくなってきたのだと思います」
「4きょうだいを里親さんに託したら、家族との時間も、自宅で飼っている5匹の猫との時間も大切にしていきたい」と話すみやこねこさん。
「この4きょうだいは『活動を終わらせる子たち』ではなく、長年続けてきたことを幸せな形で一区切りつけさせてくれる子たちなのだと思っています。大変なこともたくさんありましたが、それ以上にたくさんの幸せをもらった12年間でした」
みやこねこさんは、大きな反響を呼んだ今回の投稿についてこう振り返ります。
「小さな器から一生懸命にお水を飲む4匹の姿を、たくさんの方が一緒に喜んでくれたこと、とてもうれしかったです」
たくさんの命をつないできた、みやこねこさんの12年間。その活動に幸せな一区切りをくれた4きょうだいも、みやこねこさんと同じく、新たな一歩を踏み出します。