人の手が近づくと体を震わせ、失禁してしまう一匹のシーズー。怖さから、差し出された手をかもうとすることもありました。
「私たちは、この子の過去を知りません」
そんな言葉とともにInstagramへ投稿された動画には、保護されたばかりのハッピーくん(6歳、男の子)の姿が映っています。
撮影されたのは、保護されてからわずか3日後。まだ緊張した表情を浮かべながらも、スタッフのそばへ自分から近づき、差し出された手のにおいをかぐ様子が収められていました。
投稿したのは、ショッピングセンター「MARK IS 福岡ももち」内にある保護犬シェルター「anifareマークイズ福岡ももちシェルター」さん(@anifare_markisfukuoka)です。
ハッピーくんは、なぜ人を怖がるようになったのでしょうか。保護された経緯や現在の様子について、シェルターに聞きました。
繁殖犬として過ごした約6年間
ハッピーくんは、2020年4月11日生まれ。ゴールド&ホワイトの毛色をした、体重7.5キロのシーズーです。保護されるまでの約6年間、繁殖犬として生きてきました。
元の飼育者が膵臓がんを患い、犬たちを飼い続けることが難しくなったため、周りの人たちがそれぞれの犬を一時的に預かることになったといいます。
その後、ハッピーくんを預かっていた人から「保護してほしい」と相談があり、anifareが引き取ることになりました。
それ以前にどのような毎日を送っていたのか、詳しいことは分かっていません。ただ、シェルターへやって来たハッピーくんの様子からは、人に対する強い警戒心が伝わってきたそうです。
「触ろうとすると震えたり、失禁してしまったりすることがありました。また、手を差し出した際には、怖さからかもうとする行動も見られました」
無理に触れず、ハッピーくんのペースで
スタッフは、ハッピーくんとの距離を急いで縮めようとはしませんでした。まずは優しく声をかけ、安心して過ごせる環境を整えることから始めたといいます。
「いきなり触るのではなく、その子のペースに合わせ、ゆっくりと距離を縮めながら関係づくりを行っています」
保護から間もないため、現在も緊張して震えることはあります。それでも、ここ2日ほどは失禁や脱ふんが見られなくなり、少しずつ新しい環境に慣れてきました。
さらに、尻尾を振ったり、自らスタッフへ近づいたりすることも増えています。わずか数日の間に見せた小さな変化を、スタッフは喜びながら見守っています。
「まだ完全に人に慣れているわけではなく、怖がったり、パニックになったりすることもありますが、日々少しずつ前向きな変化が見られています」
「ゆっくり信頼関係を築いてくださるご家族を」
投稿には、「3日目には目つきが変わりましたね」「これから先は絶対に幸せになってほしい」「ずっと甘えていいんだよ」「最高の家族に迎えられますように」といった声が寄せられました。
ハッピーくんは、とても繊細で怖がりな性格です。新しい家族をすぐに信頼し、甘えられるようになるとは限りません。心を開くまでには、時間が必要になるとみられます。
シェルターは、ハッピーくんに合う家庭について、次のように話します。
「無理をさせず、ハッピーくんのペースに合わせて、ゆっくりと信頼関係を築いてくださるご家族とのご縁があればと思っています」
過去に何があったのかは分からなくても、これから安心できる時間を重ねていくことはできます。少しずつ人を信じようとしているハッピーくん。今度こそ、ありのままの自分を受け止め、末永く寄り添ってくれる家族との出会いが待たれます。
ハッピーくんが暮らす「anifareマークイズ福岡ももちシェルター」は、福岡市中央区のMARK IS 福岡ももち2階別館にあります。見学は予約不要で、気になる犬が決まっていない場合や、見るだけでも歓迎しているとのことです。