30代女性のAさんの2歳の娘は、保育園に通っています。入園して間もないある日、娘は同じクラスの園児に腕を噛まれてしまうのでした。これに対して、園はすぐに謝罪し「今後は十分気を付けます」と説明してくれたため、Aさんは「子ども同士のことだから」と受け止めていました。
しかし、その後も同じ園児から肩や腕を噛まれることが繰り返されます。その結果、娘は登園前になると「行きたくない」と泣くようになってしまいました。
園はその都度謝罪し「再発防止に努めます」と説明してくれますが、状況は変わりません。そのためAさんは「このまま園を信じて待つしかないの?」「相手の保護者に責任はないの?」と毎日不安な気持ちでいっぱいです。
このように同じ園児から噛みつきが繰り返されるトラブルでは、園や相手側はどのような責任を負うのでしょうか。またこのトラブルを解消するためにAさんはどのように対応するべきでしょうか。Authense法律事務所の新町佳史さんに話を聞きました。
相手の保護者に当然に責任が生じるわけではない
ーAさんの子どもがかよっている園にどのような責任がありますか?
保育園には、預かっている子どもの安全に配慮しながら保育を行う責任があります。そのため今回のケースのように、同じ園児による噛みつきが繰り返されていたのであれば、事故が起きた経緯を把握し、見守り体制の見直しや保育環境の工夫など、再発防止に向けた対応を検討することが求められます。
ただし、繰り返し噛みつきがあったからといって、直ちに園の責任が認められるわけではなく、実際に事故を防ぐためにどのような対応を取っていたのか具体的な状況を踏まえて判断されます。
ーAさんのケースでは、相手の保護者の責任は認められるのでしょうか?
Aさんとしては、「何度も同じ子から噛まれているのだから、相手の保護者にも責任があるのでは」と感じるかもしれませんが、保育時間中は園が子どもを預かっています。そのため、相手の保護者に当然に責任が生じるわけではありません。また、2歳くらいの子どもは自分の行動を十分にコントロールすることが難しい年齢でもあります。
そのため、実際には園の管理体制や事故が起きた状況などを踏まえて判断されることになり、Aさんのケースでも、相手の保護者へ必ず治療費などを請求できるとは限りません。
ーAさんは今後、園とどのように話し合いを進めるのが望ましいでしょうか。
Aさんの場合は、「誰が悪いのか」を追及することよりも、娘さんが安心して保育園へ通える環境を整えるという視点で園と話し合うことが大切です。
その際は、これまでどのような場面で噛みつきが起きたのか、園では原因をどのように分析しているのか、今後どのような再発防止策を講じる予定なのかなどを具体的に確認するとよいでしょう。
それでも再発防止策が講じられず、同様の事故が繰り返される場合や、園との話し合いが平行線となる場合には、一度弁護士へ相談し、今後の対応について助言を受けてみてはいかがでしょうか。
◆新町佳史(しんまち・よしふみ) 弁護士/Authense法律事務所
依頼者1人ひとりと真摯に向き合い、言葉にならない思いや背景事情にも丁寧に耳を傾け、本音を引き出す対話を重視。スピーディーかつ友好的な解決へ導く粘り強い交渉力を強みとする。
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