「生活用にしろ農業用にしろ、水が一番だと思います」
7月28日に震度7の地震に見舞われた熊本県八代市で有機栽培バナナを育てる「たかきのバナナ」(@Takaki_BANANANA)さんが、熊本地震後の被災地の現状をXで発信しています。
災害ごみの搬出に長時間並ぶ様子や、崩れた田んぼ、農業用水不足など、復旧の厳しさを伝える投稿に、多くの人が心を寄せています。
投稿者に詳しく話を聞きました。
地震発生時は埼玉に帰省中 「一刻も早く帰りたかった」
震度7を観測した地震が発生した当時、投稿者夫妻は熊本にはいませんでした。
「倒れてるーーーーーー!!みたい! たかき夫婦は埼玉に居るので無事です!」と投稿し、倒壊した鳥居の写真を紹介。多くの人から安否を心配する声が寄せられました。
実は当時、埼玉県の実家へ、娘さんたちの夏休みに合わせて帰省していたといいます。
「私の実家が埼玉でして(八代は妻の実家です)、娘の夏休みに合わせて帰省していたタイミングでした」
地震はネットニュースで知り、その後は八代にいる家族や社員、地域の人たちから次々と被害状況が伝えられました。
「社員の安全確認や社屋の様子を聞き、電話などで指示を出していました。一刻も早く帰りたかったのですが、飛行機や新幹線がストップしており、余震も活発だったため、幼い娘2人を連れて帰るのは危険と判断しました。飛行機が運航再開したタイミングで戻りました」
家具は全て倒れ…田んぼでは“水が来ない”
自宅や会社の建物自体には大きな被害はなかったものの、室内は家具がすべて倒れ、足の踏み場もない状態だったそうです。倉庫では、出荷予定だったジャガイモが崩れ、肥料の下敷きになった機材も破損しました。
しかし、それ以上に深刻なのが、農地への影響でした。
「田んぼの被害がひどく、水路や畦が完全に崩れてしまい、水を貯められません。地域のみんなが、本当に困っています」
すでに稲が枯れ始めている田んぼもあり、登熟期を迎えた稲についても、新米の品質低下や収量減少を懸念しているといいます。
一方、有機栽培のバナナは今のところ大きな被害は免れていますが、運送会社も被災したため、発送ができない状況が続いています。
「農家同士で水を取り合っている」 猛暑が追い打ち
復旧作業も簡単ではありません。投稿者は災害ごみを搬出するため、朝から並びましたが、受付には約200台の車が列を作っていました。
「災害ゴミ出しに来たけど…2時間半待ちだって200台いるみたい😂」
その後も順番はなかなか進まず、「軽油の出前とお昼の出前を友人に頼みました」とユーモアを交えて投稿。さらに、差し入れのポカリスエットを受け取り、「超うれしいすぎる!!!!!!!!!!」と感謝をつづっていました。
しかし実際には、災害ごみを搬出し終えるまで、約6時間半を要したといいます。
「もし今から災害ごみを出される方がいらっしゃる場合は、とんでもなく待つことになります。お急ぎでなければ、少し時期をずらされた方がいいかもしれません」
一方で、長時間の待機以上に深刻なのが、猛暑と水不足です。
「車で待機していてもエアコンが効かないほど暑いです。この暑さで、農作物への影響も深刻化してきそうです」
さらに、最も切実なのが農業用水不足でした。
「私の地域は用水路から水を引いて田畑を耕作していますが、その用水路に水が来ず、米が枯れてしまいそうです」
ポンプでくみ上げたわずかな水をめぐり、地域では農家同士が水を分け合う状況になっています。
「農家さんたちが取り合っている感じにもなっています。けんかなどに発展しないか、すごく心配です」
八代市周辺は、日本有数のトマト産地としても知られています。
「トマト農家さんも、苗にやる水で大変困っているそうです」
「今必要なのは水」 保育園にも地下水を提供
地震直後はガソリン不足も問題になっていましたが、現在は少しずつ改善しているといいます。ただ、「どこに在庫があるのか分からず、探し回る人はまだいる」と話します。
一方で、今最も必要なのは「水」だと強調します。
「生活用にしろ農業用にしろ、水が一番だと思います。配給も5リットルまでと決まっていますので」
自宅では地下水をくみ上げているため、生活用水には困っていませんが、その地下水を近所の保育園へ提供しているそうです。
「娘が通っている近所の保育園は保育を再開していますが、水がないため、我が家の地下水を提供しています」
農業用水については、まだ十分に報じられていないものの、「こちらも今後、さらに深刻化すると思います」と危機感を募らせます。
「八代の農産物を食べて応援してほしい」
全国から寄せられる応援メッセージは、大きな励みになっているといいます。
「今は皆それぞれ日々の生活を精いっぱいこなしている状態ですが、これから復興に向けて、より一層力を出し合って協力していくことになると思います」
八代は、全国有数の農業地帯です。
「この豊かな農村を、子どもたちの世代まで伝統的にもインフラ的にも残してあげられる正念場のような気がしています」
そして最後に、全国へ向けてこう呼びかけました。
「苦しい中ですが、おいしい農産物を変わらずお届けできるよう、八代の農家さんみんな頑張っています。どうか今後とも、そんなおいしい八代産の農産物を『食べて応援』していただけたらうれしいです」