駅などの混雑した場所で、すれ違いざまにわざと体をぶつけてくる「ぶつかりおじさん」。主に女性や子どもが被害に遭う迷惑行為として知られています。
そんな「ぶつかりおじさん」が生まれる背景や心理を描いた漫画『お父さんがぶつかりおじさん!?➄~⑦』(作:のむ吉さん)がInstagramで注目を集めています。
主人公は、どこにでもいるような中年サラリーマンの佐々木トシキ。彼はある日、女性への体当たり行為について警察から事情聴取を受けることになります。しかし、彼は不満げな様子で、「それほど強くぶつかってはいない」「これだから女は」と心の中で思うのでした。
故意ではなかったと主張するトシキでしたが、防犯カメラには複数の女性へ意図的にぶつかっているように見える姿が記録されていました。さらに「歩きスマホをしていた相手にも原因がある」と責任転嫁しますが、刑事から「ぶつかっていい理由にはならない」と諭され、この件を暴行事件として立件する予定だと告げられます。
この結果にトシキは「ぶつかっただけなのに…」と青ざめ、慌てて弁護士を探します。その後、帰宅すると机の上には妻が置いていった離婚届がありました。家族にも見放され「自分はなぜこうなってしまったのか」とトシキはこれまでの人生を振り返ります。
新卒で大手企業に入社したトシキは、有名大学卒という肩書きを誇りに思い、学歴で他人を見下していました。しかし、仕事では失敗が続き、同期の女性社員が高く評価される姿を目の当たりにするうちに、女性への劣等感や蔑視を募らせていきます。
やがて会社を辞め、転職先で出会った女性・チエコと結婚します。娘にも恵まれますが、仕事も育児もうまくいかず、家庭でも職場でも居場所を失っていきました。
そんなある日、歩きスマホをしていた女性に偶然ぶつかって転倒させた際、「あの女性より自分の方が上だ」と優越感を覚えます。こうして、トシキは次第に「ぶつかりおじさん」へと変わっていくのでした。
同作を含めた漫画『お父さんがぶつかりおじさん!?』は、すくパラNEWSで連載中です。
読者からは「人様に八つ当たりしたって、何一つ改善しないよ」や「器が小さいな」など厳しい意見が並びました。そんな同作について、作者ののむ吉さんに話を聞きました。
社会問題を「自分とは関係のないこと」ではなく、身近な問題として捉えてもらいたい
―同作を描こうと思われたきっかけを教えてください。
ニュースやSNSで「ぶつかりおじさん」という言葉を目にする機会が増え、身近な社会問題だと感じたことがきっかけです。また、ぶつかりおじさんの心理に興味を持ったことも、このテーマを扱おうと思った理由の一つです。
―同作制作にあたり、参考にされた情報や意識されたことがあれば教えてください。
ぶつかりおじさんに関する記事やニュースを参考にしました。調べる中で、自己肯定感の低さや女性蔑視などが背景にあること、また男性だけでなく「ぶつかり女性」と呼ばれるケースもあることを知りました。
標的になるのは高齢者や女性、子どもなど、一見弱そうに見える相手が多いのですが、その裏には「社会から自分より優遇されている」という不満が反映されているのではないかと感じました。
一生懸命働いても報われないという思いや、「自分は認められていない」という感覚が積み重なり、認知が歪んでいく過程を表現できるよう意識しました。
―同作のような問題提起をする作品を描くうえで、大切にされていることや読者へ届けたい思いがあれば教えてください。
社会問題を「自分とは関係のないこと」ではなく、身近な問題として捉えてもらいたいという思いで描いています。人にはそれぞれ背景があり、立場や状況によっては被害者にも加害者にもなり得ます。当事者たちの背景にも目を向けるきっかけになればうれしいです。
<のむ吉さん関連情報>
▽すくパラNEWSで連載中「お父さんがぶつかりおじさん!?」
https://news.sukupara.jp/item/author/nomkich
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▽ブログ『のむ吉の大安吉日ブログ』
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