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「石だと思ったら」雨のアスファルトの上で固まっていた子猫 体は冷たくずぶ濡れ「とにかく生きて」とひたすら温めた 「一人では逝かせたくない」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

小雨が降る朝、アスファルトの上で動けなくなっていた小さな子猫。鼻や口から血を流し、冷え切っていた命は、一人の男性とその妻の懸命な保護によって救われました。

北海道登別市の「【公式】カルルス温泉 鈴木旅館」さん(@karls1899suzuki)がXに投稿した子猫の保護エピソードが、多くの人の胸を打っています。

投稿には「保護してくださったおかげで命を繋げてくださり本当にありがとうございます」「小さい命を救ってくださりありがとうございます」「奇跡が続きますように祈ってます」といった感謝や応援の声が相次ぎました。

投稿者の鈴木旅館さんに詳しい話を伺いました。

「石だと思ったら耳があった」雨の朝に見つけた小さな命

子猫を見つけたのは6月19日午前6時ごろ。鈴木旅館さんは毎朝、近くの元バス停まで新聞を取りに行くのが日課です。その日も小雨の中、スクーターで向かったところ、アスファルトの上に雨に濡れた真っ黒な物体があることに気づきました。

「石にしてはあまりにも黒いし…と思ってよく見たら耳があります。『猫だ!』と思いました」

周囲を見回しても親猫の姿はありません。

スクーターだったため、いったん旅館へ戻って車に乗り換え、妻に事情を説明。キャリーケースを持ち、「カラスに見つからないように、いなくならないように」と祈るような気持ちで現場へ戻ったそうです。

幸い、子猫はその場で待っていてくれました。抱き上げると体はずぶ濡れで、触れると驚くほど冷たかったといいます。キャリーケースに入れた瞬間、血が付き、排泄もしてしまいました。

「一人では逝かせたくなかった」夫婦で必死に温め続けた

旅館へ連れ帰ると、夫婦はすぐにタオルで体を拭き、ペットボトルで湯たんぽを作って懸命に体を温めました。

外傷は見当たらなかったことから、鈴木さんは「恐らく鳥か何かに捕まれ、落とされたのではないか」と考えたそうです。

「とにかく生きてほしいと思い、ひたすら温めました」

病院には連れて行かなかったものの、夫婦は小さな命を信じ続けました。保護を決意した理由について、鈴木さんはこう振り返ります。

「たった一人で雨の中、寒くて心細い思いをして、駐車場のアスファルトの上で死んでいくのは、あまりにもかわいそうだと思いました。連れてきてもダメならしょうがない。でも、一人では逝かせたくないという思いでした」

そして、か細い声で鳴き、目を開けた瞬間の喜びは今でも忘れられないそうです。

「助かってくれて良かったと思いました」

今では元気いっぱいに走り回る「くるみくん」

子猫は現在、「くるみくん」という名前で暮らしています。

保護当初は女の子だと思っていたため、「ずぶ濡れで冷たくなっていた子なので、幸せと暖かさに包まれるように」という願いを込め、「くるみ」と名付けたそうです。後に男の子だと分かりましたが、そのまま大切な名前になりました。推定生後1カ月半ほどの、人懐っこく甘えん坊な男の子です。

7月30日現在、体調はすっかり回復。ケージから出るとデスクの間を元気に行ったり来たりし、廊下へ放すと勢いよく走り回るそうです。

「1週間前より明らかにスピードが速くなっています。まだ子猫用のウェットフードを食べていますが、そろそろドライフードを食べてほしいです」

保護当初の姿からは想像もできないほど、元気いっぱいに成長しています。

「生きてくれてありがとう」

多くの反響が寄せられた今回の投稿。鈴木さんは、今の率直な思いをこう語ります。

「生きてくれてありがとう、元気になってくれてありがとうです」

あの日、冷たい雨の中で動けなくなっていた小さな命は、「一人では逝かせたくない」という夫婦の優しさに救われました。今では旅館でたくさんの愛情に包まれながら、元気いっぱいに走り回っています。くるみくんのこれからも、きっと多くの人に温かな笑顔を届けてくれることでしょう。

8月12日、くるみくんは札幌の里親さんのところへ旅立ちました。

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