偶然立ち寄ったハウスで始まった、師匠との交流
飼い主さんが師匠と知り合ったのは、約10年前。かねてからの夢だったイチゴ農家を目指し、愛媛県内の農園を訪ねて、栽培について学んでいたころでした。
「あるハウスで若い女性がイチゴの管理をしていたので、お話を聞きました。すると、『イチゴ栽培は父のほうが詳しいです。向こうにいるので、話をしてみてください』と言われ、そこで初めて師匠にお会いしました」
その日、師匠は自身の農園ではなく、知人の農家の圃場へ娘さんと手伝いに来ていました。農園は別の場所にあると聞いた飼い主さんは、日を改めて訪ねることになったそうです。
「実際に師匠の農園を訪れ、いろいろと話をするなかで、イチゴ栽培について懇切丁寧に教えていただきました」
話を重ねるうちに意気投合した飼い主さんは、さらに深く学ぶため、1週間ほど無償で働かせてもらえないかと申し出ました。師匠は快く受け入れ、翌日から農園を手伝うことになりました。
「このときに学んだことは、自分の農園をかまえる際におおいに役立ち、現在も生かされています。今も盛んに交流しており、困ったことがあれば気軽に聞ける関係を、非常にありがたく思っています」
農業関連の本で目にした「何でも聞ける師匠を持て」という言葉にも、自身の経験を通して深く納得したといいます。
「自分が最もつらかった時期に、親身になってさまざまなことを教えてくれた師匠に、私は全幅の信頼を置いています。師匠も普段から何かと気にかけてくださり、ペットロスに陥っていたときも、よく声をかけてくれました」
イチゴ農家を志して訪ねたハウスでの偶然の出会いは、時を経て、先代のコタローくん、先住猫のチャミちゃん、そしてムギくんとコナツちゃんとの縁にもつながりました。コタローくんとともに農園で過ごした日々や、そこで育まれた猫たちへの思いは、今も飼い主さんの中に息づいています。
「たまたま目に入ったハウスを訪ね、そこに偶然、手伝いに来ていた師匠と出会った――。どちらかが別の行動をしていたら、この出会いはなかったと思います。その偶然の重なりによって、今、ムギとコナツがここにいると思うと、感慨深いものがあります」