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世界のナベアツから落語家へ 桂三度が町あかりとデュエット「愚痴が果てたら」を配信した理由

仲谷 暢之 仲谷 暢之

かつてジャリズム・渡辺として心斎橋2丁目劇場で大人気を博し、その後、世界のナベアツとして3の倍数でアホになって「オモロ~!」と叫び、2011年には落語家に転身した桂三度

2026年でデビュー15周年を迎えた彼が、この春、唯一無二のアーティスト、町あかりとデュエット曲『愚痴が果てたら』をリリースした。作詞も手がけたこの曲への思いと、落語家としてのこれまでを聞いた。

――まず、町あかりさんとの出会いから教えてください。

三度:まず、僕が町さんの大ファンやったんです。SNSで「町さんのパーカー買いました」とか「友だちと町さんの話で盛り上がった」とか投稿してたら、それがどういう経緯か町さんサイドに伝わったみたいで。共演する時に町さんから「コラボしませんか」って言うてくれはったんです。

コラボ曲は最初、作詞が桂三度、作曲が町あかりさん、歌が桂三度のソロっていう話だったんですけど、僕からしたら恐縮すぎて「無理、無理!」と。「でもせっかくなので、今の時代デュエットソングって少ないからどうですか?」と提案させていただきました。

それを町さんにOKしていただき、2025年の9月くらいから動き始ました。

――町あかりさんというアーティストの、どんなところに惹かれたのでしょうか?

三度:まず歌詞がすごく面白くて、ワードセンスがすごすぎるんです。でも、いわゆるコミックソングとして狙ってやってはるんじゃなくて、なぜか真剣さも伝わってくる。メロディも素晴らしくて、町さんが心底その世界観を好きでやってるという本気度が伝わってくる。同じことを芸人がやったらププッって笑うだけで終わるけど、町さんのメロディと合わさると、もう完成度が凄まじいんですよ。

特に『ア、アイシャドウ』って曲は、80年代後半の資生堂のCMソングを彷彿とさせてくれて、当時のCMに使われてもおかしくないレベルだと思っている名曲です!個人的には“ビリー・アイリッシュを日本で一番うまくカバーできるのは町あかりさんや”と思ってるんです。真剣に!

町さんの楽曲や歌声って、耳じゃなくて“血管に入ってくる感じ”がして、もの凄く気持ちいいんです。温泉より身体に効果があると思ってます(笑)。

ーー今回の『愚痴が果てたら』では、三度さんが作詞を担当されていますが、独特の世界観を発信している町さんに対して詞を書くのは、プレッシャーもあったのでは?

三度:本当はファンのままで近づかないでおこうと思ってたんです。でも、せっかく声をかけていただいたんだし、チャレンジしてみようと。ただ、町さんから歌詞に対して何回NGを食らうんだろうかと、ビビりながら書きました(笑)。

町さんからの曲が先で、どんな歌詞にしようかメールですり合わせて「セクシャルなデュエットにするのはやめよう」と意見が一致して。聴き終わった後に、少し元気になる感じにしましょうとアドバイスをいただいたのですが、そんな作詞にするのは無理でした(笑)。

それと、バカバカしくも昭和・平成のデュエットソングへ大きなリスペクトを捧げました。その時代を経験した方々に「あの曲か!」って、ニヤリとしてもらえたら嬉しいです。

――タイトルの『愚痴が果てたら』にはどんな意味があるでしょうか?

三度:人が集まったら何らかの愚痴は言うじゃないですか。僕も悪口も愚痴も大好きです(笑)。でもね、愚痴を言うだけ言うたら、愚痴が果てたら、酔っ払ってこの曲を歌って、その時間だけは全部忘れて盛り上がってくださいという思いでこのタイトルにしました。だからこの曲はぜひカラオケで歌って欲しいんですよね。

――MVには、藤井隆さんと椿鬼奴さんが出演されていますね。

三度:もう最初からあのお二人しか頭に浮かばなくて、とにかく僕が出るよりお二人が踊ってる姿がこの曲に合うなと思いましてオファーしました。お二人とも、曲の持つ意味やこちらの希望を100%汲んでくれはって撮影に臨んでくれました。藤井くんは「この歌には絶対ソバージュです!」と、ウィッグも指定してくれて(笑)。撮影時間はめちゃくちゃタイトやったんですけど、その割には取れ高がありすぎて、使っていない映像だけで別バージョンが一本作れるぐらいです(笑)。そのおかげで、いい意味でかなり"歪(いびつ)"な作品になりました(笑)。狙い通りです。僕が町さんとデュエットする時点で“歪”やし、歌詞も“歪”。ジャケットもMVも全部、“歪”。そうしたかったんです。その“歪”を感じながら、“歪”をつまみにして、先ほども言いましたがカラオケで歌って欲しいですね。

――話は変わりますが、落語家・桂三度としては今年で15年を迎えられました。今のお気持ちは?

三度:師匠の桂文枝のところに入門して、その当時から30年計画で落語家人生を考えてるんです。20年目で「やっと聞けるようになったな」と言われて、30年目で「めちゃめちゃええやん」と言われたい。そのためにやってきています。とはいえ計画は狂うもんなんで、遠回りしながらも近づけようとしていますんで、あと5年後の20年までお待ちください(笑)。

――今、15年目としてはどんな段階でしょうか?

三度:ようやく落語家としての自分のラインが見えてきたような気はします。これまでは試行錯誤しながらいろんな方法を試してきたんですが、15年目にしてやっと進むべき道が見えた段階ですかね。

――桂文枝師匠譲りの創作落語はもちろんですが、古典落語にも力を入れてきてらっしゃいますが、どちらに力を入れていくというのはありますか?

三度:古典と創作、二刀流でいきたいです。でも大変な道だとはわかっているんですが、絶対に相乗効果があると信じてます。なので、両方成立をやり遂げたいです。

――落語家として大切にしたいことは?

三度:お客様ファーストですね。落語が上手でも、自分に酔ってるだけの人もいる。僕はそれは違うと思う。お客さんが楽しめることが大前提。その上で自分の芸があるべきだと思っています。

――最後に改めて『愚痴が果てたら』を聴く人へメッセージを。

三度:歌詞の中に「♪世界は悲劇あふれ 未来は刺激あふれ この胸張り裂けそうだ ひとまずラーメン食べる 絶望すぐそばにある 人類どこへ行くの? 生きてる意味って何? それよりラーメン食べる」ってあるんですが、もうね、生きてる意味とか考えても結局はみんな食欲あるやんと思うし、そんな狭くて答えを出せないことで悩む前に、まず飯でも食って馬力作ったらええやんって思っているんです。

愚痴は言うていい。でも長すぎるのはあかん。そして愚痴が果てたら、この曲をみんなで歌って笑ってほしい。宴会やカラオケ、盆踊りの締めに歌われたり流れたりする定番曲になったら最高ですね。

▽『愚痴が果てたら』歌/町あかり&桂三度
https://lpm.yoshimoto.co.jp/139688/
▽桂三度オフィシャルサイト
https://www.katsurasando.com/

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