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震災直後に保護された猫 家族を笑顔にし続け15年 「今夜が危ない」と告げられ…延命治療を受けながら3カ月 「また何処かで会うと願ってます」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「今朝我が家の愛猫が旅立ちました」。

そんな一文から始まるX(旧Twitter)への投稿が、多くの人の涙を誘いました。

東日本大震災の直後に保護され、15年間家族を癒やし続けた愛猫・さくらちゃん。「今夜が危ない」と獣医師から告げられながらも、その後3カ月間懸命に生き抜きました。投稿した飼い主の「首フリフリ♪」さん(@FJ5l6)に、さくらちゃんとの思い出を聞きました。

東日本大震災をきっかけに家族に迎えた子猫

5月19日に虹の橋を渡ったのは、15歳のメス猫・さくらちゃん。東日本大震災の直後、津波から逃れた子猫の里親募集の記事を見た投稿者さんの奥さんが譲り受けたそうです。

「当時のことでうろ覚えですが、妻が震災で津波から逃れた子猫を保護していて里親を探しているという記事を見つけ、譲渡していただきました。体はまだ10センチほどしかない赤ちゃんでした。春に我が家へ来たので『さくら』と名付けたと覚えています」

家族一人ひとりに寄り添った愛想抜群の猫

15年間を振り返り、投稿者さんは「とにかく愛想のある子でした」と話します。

帰宅すると必ず玄関まで迎えに来て、おやつのある場所まで先導してくれるのが日課でした。また、体に障害のある次女がデイサービスから帰宅すると、玄関まで迎えに行き、まるで「ご苦労さまです」と声をかけるように出迎えていたそうです。

一方、長女とは特別な絆で結ばれていました。

「長女が帰ってくる時は車の音だけで分かるんです。迎えには行きませんが、鳴き声や目つきがまるで親友を見るようでした。心が通じ合っているのが見ていて分かるくらいでした」

そんなさくらちゃんとの15年間には、忘れられない出来事がたくさんありました。若い頃には脱走し、その後、お腹が大きくなって帰ってきたこともあったそうです。

「お腹がゴニョゴニョ動いていて『もしかして』と思ったら、やっぱり妊娠していました。出産した時のお母さんの顔は今でも忘れられません」

また、テレビやスマートフォンから緊急地震速報が鳴るたび、目を丸くして家族一人ひとりの顔を見ながら鳴き、家中を走り回る姿も印象に残っています。

「『みんな!大変!大変!』と言っているようでした」

家族思いな一面がある一方で、おちゃめな姿もたびたび見せてくれました。油ものが大好きで、ポテトチップスの袋に残った油をなめようとして、袋を頭からかぶったまま歩き回り、家族を大笑いさせたこともあったとか。

そして足先だけが白い「4本靴下」の模様で、前足には穴のような黒い点があるのもチャームポイントでした。

投稿者さんは、「笑いと癒やしをたくさんもらいました」と、愛おしそうに振り返ります。

「今夜が危ない」から3カ月 家族と過ごした奇跡の時間

さくらちゃんの異変に気づいたのは投稿者さんでした。

「トイレにあまり行かなくなり、呼吸も荒くなっていました」

病院へ連れて行った長女は、涙を流しながら帰宅します。全身にがんが転移し、「今夜にも命を落とすかもしれません」と告げられたのです。

肺にたまった水を抜く処置を受け、「おいしいものを食べさせてあげてください」と言われた家族は、急いでスーパーでチュールを買いました。すると、思いがけない出来事が起こります。

「1本食べ終えると目を見開いて『もっとちょうだい』という顔をしました。もう1本あげたら起き上がって走り回ったんです。家族みんな『チュールにそんな力があるの!?』と本当に驚きました」

それから食欲も戻り、週に一度、肺の水を抜く延命治療を受けながら3カ月を過ごしました。病院へ向かうと足を震わせて怖がっていたさくらちゃん。それでも看護師に抱っこされ、懸命に治療を受ける姿を見て、看護師からは「こんなに頑張る子は見たことがない」と声をかけられたそうです。

「『私、頑張る!みんなともっと一緒にいたい!』と言っているような顔でした。治療費は正直大変でしたが、それでも少しでも長く一緒にいたいという気持ちの方が大きかったです」

最期の日、冷たいフローリングの心地よい場所を探して横になっていたさくらちゃん。名前を呼ぶと、尻尾を振って返事をしてくれました。亡くなる直前まで妻が寄り添っていましたが、最期は少し離れた場所で静かに息を引き取ったそうです。

「最後まで愛想よく、家族に楽しい時間と癒やしをくれた子でした。……ちょっとうんちは異常に臭かったんですけどね」

そんなユーモアを交えながら振り返る言葉からも、深い愛情が伝わってきます。

「また何かの縁で帰ってきてくれると信じています」

投稿の最後に記した「また何処かで会うと願ってます」という言葉について尋ねると、投稿者さんはこう話しました。

「いつかまた何かの縁で、さくらが帰ってくると信じています」

そして、今ペットと暮らすすべての人へ、こんなメッセージを寄せてくれました。

「家族同然にたくさん話しかけてあげてください。きっと伝わっています。短いと言えば短い時間ですが、お互いの心に残る時間を過ごしてください」

震災を乗り越え、15年間家族を笑顔にし続けたさくらちゃん。その思い出は、これからも家族の心の中で生き続けます。

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