お互い独身だった頃は楽しく遊べたのに、妊娠出産を経たことがきっかけで友情の形が変わってしまうことがあるようです。漫画家の戸塚ネオさんの作品『母になって、友は変わった~喜美子編~』では、そんな友情の変化を描いています。
主人公のまゆは、以前勤めていた会社で親しくしていた年上の友人・喜美子と、久しぶりに食事へ出かけました。ところが喜美子は、妊娠しているまゆのお腹に向かって「おーい喜美子ばぁばだよ~」と呼びかけたり、「産まれたらすぐ私に会わせて~」と言ったり、まるでまゆの親戚のような態度をとります。
しかもまゆが里帰り出産をすることを聞くと、喜美子は「本物のばぁばに敵わないじゃない」とがっかりした様子に。まるで喜美子がまゆの母と張り合っているように見え、戸惑いを感じるのでした。
それから時が経ち、無事に里帰り出産を終えたまゆは、育児に奮闘します。夫は協力してくれるものの、仕事が忙しいことと、娘の莉子の世話に対しての不安が大きいことを理由に、まゆはほぼ1人で育児をしていました。
そんな中、久しぶりに喜美子からランチに誘われ、誰かと話したい一心で出かけることに。そして迎えたランチの日、やっと夫以外の人と会話できると思っていたまゆに対し、喜美子は「こっちよー!やっと会えたね!莉子ちゃん!」とまゆではなく莉子ばかりに注目します。さらに大人用のネックレスを莉子にプレゼントしたり、せっかく喜美子と楽しく話ができると思っていたのに、まゆの心には暗い気持ちが募っていくのでした。
その後、まゆの自宅に喜美子を招いた際には、育児で忙しく喜美子と食べるための昼食を作る余裕がなかったまゆが、出前を頼むと喜美子は「これくらいすぐ作れるのに」と発言します。さらに「今どきのお母さんって本当に子ども放置よねぇ…まゆちゃんはそうなったらダメよ~」など、育児や生活への口出しもおこない、まゆの喜美子に対する不満は増していくばかりです。
最終的に喜美子は、「まゆちゃんの近くに引っ越そうかな」と言い始め、まゆを驚かせます。育児を手伝いたいという思いを語る喜美子に対し、育児に口出しされたくないまゆは「そこまで喜美子さんには頼れないよー」と伝えるのでした。
読者から「ストレスでしかない」「口出しはしんどい」といった声が多くあがっています。そんな同作について、作者の戸塚ネオさんに話を聞きました。
「お互いにとって心地よい距離を保つこと」が大切
ー同作を描こうと思ったきっかけを教えてください
これまで付き合ってきた友人と、お互いのライフステージが変わる中で、関係をどう続けていくか模索したことがきっかけです。双方の環境が変わる中で、ミスマッチや距離感の難しさを感じるようになりました。
また、知人の経験談を聞く中で、同じように悩んでいる方もいると知り、その気持ちを自分なりに整理する形として作品にできればと思い描きました。
ー「ありがたい」と違和感が同時に存在する葛藤について描かれているのが印象的でした
実際に、自分自身も楽しく過ごしている時間や助けられている実感があった一方で、距離が近くなりすぎることで少しずつ違和感が積み重なっていく感覚もありました。
どちらか一方に振り切るのではなく、その揺れている状態そのものがリアルだと思っているため、読者の方が自分の経験と重ねながら読めるようにという気持ちで描いています。
ー距離感や境界線を描く際に意識したことはありますか?
友人関係であっても、子育てや家庭の領域に踏み込まれると、関係性が変化していくという点を意識して描きました。善意であっても、受け取る側の状況や気持ちによっては負担になることがあると感じています。
私自身も、関係が近くなりすぎることで初めて気づく違和感があると感じており、それを表現しました。
距離感や境界線については、「お互いにとって心地よい距離を保つこと」が大切だと感じており、その難しさも含めて描いています。
ー読者からのコメントはどのようなものが多かったでしょうか?
「同じような経験がある」「気持ちがよく分かる」といった共感の声を多くいただきました。一方で、「なぜそこまで距離が近くなったのか」といったご意見もあり、さまざまな立場から受け止めていただけた印象があります。
人との距離感について、改めて考えるきっかけになったという声が特に印象に残っています。
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