楽しいはずの恒例行事が、いつしか苦痛に
気候が良くなり、庭で過ごすのが心地よい季節になると、自宅でバーベキューを楽しむ家庭も少なくありません。気心の知れた仲間と過ごす時間は特別なものですが、その「楽しいはずの集まり」が大きなストレスになることもあります。
千葉県在住のHさん(40代)にとって、毎年恒例の庭バーベキューは、まさにそんなイベントでした。
もともとは夫と大学時代の友人たち数人で始めた、庭でのバーベキューでした。 学生時代の思い出話に花を咲かせながら過ごす、気楽な集まりだったといいます。しかし年月とともに友人たちは次々と結婚し、子どもも誕生。参加者は「友人」から「家族連れ」へと変わり、かつての少人数の集まりは大人数の恒例イベントになっていきました。
特に夫の友人Dさん一家が参加するようになってから、Hさんの負担は増えていったといいます。
庭だけの約束が、なぜか家中を占領
Dさん夫妻は到着すると、肉を焼いたりお酒を飲んだりすることに夢中。子どもたちはほとんど放置状態でした。
すると子どもたちは庭だけでは飽き足らず、勝手に家へ上がり込むようになります。
リビングにおもちゃを広げ、子ども部屋へ入り、家中を走り回ることもありました。
さらに、気づけば子どもたちは冷蔵庫まで勝手に開けるようになっていました。 「お菓子ない?」「アイス食べたい」と要求してくるのです。
来客の子どもだからとHさんも無下にはできません。毎年、お菓子やジュース、アイスを用意していました。
ところが、ある年に用意したアイスを見た5歳の子どもが、平然と言い放ったそうです。
「それ好きじゃないから別の買ってきて」
あまりに予想外の一言に、Hさんは言葉を失ったといいます。
親もその場にいたものの、特に注意する様子はなかったそうです。
「せっかく用意したのに、その言い方をされて本当に驚きました」
Hさんは今でもその時のことを忘れられません。
割り勘では見えない負担
バーベキューの食材代は毎回きっちり割り勘です。
しかし、子どものお菓子や飲み物代はほぼHさん負担。さらに集まりが終わった後には、大量の片付けが待っています。
子どもたちがベタベタの手で触ったドアノブや、裸足で出入りした床を掃除し 、散らかったおもちゃを片付け、庭に落ちたゴミを拾う作業はすべてHさんの役目です。
一方で友人家族は「楽しかったね」と帰宅していきます。
「みんなはお客さんとして楽しんでいるのに、自分だけがスタッフのような気分でした」
そう感じることも少なくなかったそうです。
それでもHさんは、なかなか断れませんでした。
夫は学生時代からの友人との再会を心から楽しみにしています。その様子を見ると、水を差したくないという気持ちが勝ってしまうのです。
今年も庭で過ごしやすい季節が近づくと、自然とバーベキューの話が出始めます。
友人たちとの交流は大切にしたい。その気持ちは今も変わりません。
それでもHさんは、次のバーベキューの予定を聞くたびに、少しだけ気が重くなるのです。