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メジャーな名字だけど…実は「迫」の読み方は本来「さこ」ではない 「豊臣兄弟!」石川数正役の迫田孝也、「迫」の由来をひもとく

森岡 浩 森岡 浩

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で、徳川家康の重臣石川数正を演じている迫田孝也。広島大卒の高学歴俳優ということで、クイズ番組にもよく出演している。

さて、「迫田」と書いて「さこた」と読む。「迫」という漢字は音読みが「はく」で、訓読みは「せま(る)」。本来「さこ」という読み方はない。しかし、名字では「迫」を「さこ」と読むのは珍しいことではなく、「迫田」の他にも、「大迫」「迫」が2000位以内というメジャーな名字である。最も多い「迫田」は1000位を少し下回るあたりという、かなりメジャーな名字である。

これ以下にも、1万位までに「竹迫」「宮迫」「小迫」「西迫」など、21個もの「迫(さこ)」名字が入っている。

では、この「さこ」とは何だろうか。

現代では、住みやすい場所といえば平野の中で、駅からも近く交通の便のいい場所だろう。しかし、中世では谷間に住むことが好まれた。というのも、中世はいつ戦が起こるかわからない。平野の真ん中に住んでいると、どこから敵に攻められるかわからず、四方を警戒する必要があるからだ。

しかし、谷間に住んでいれば原則、谷の入り口のみを警戒していればよい。従って、領主が谷の中央に屋敷を構えて、配下の武士達が谷の入り口を守れば、農民たちは谷の中で安心して農作業が行えた。それでも万一敵が攻め込んでくれば、農民たちは谷の周囲の山中に逃げ込んでやり過ごすことができた。

そのため、生活に適している谷間は各地でいろいろな呼び方がされた。関東では「やと」といい、鎌倉付近では「やつ」と言われた。鎌倉の扇が谷(おうぎがやつ)は聞いたことがある人も多いだろう。

飛騨地方では「ほら」といい、この地域には「洞~」という名字がよくみられる。

そして、関西から西では「さこ」と呼ぶことが多かった。そして、その「さこ」に漢字を当てる際に最もよく使われたのが「迫」である。谷間では奥に行くにつれて次第に両側から山が迫ってくる。まさにそれを表現した漢字といえる。

この他にも「硲」「嶝」「佐古」「窄」など地域によってさまざまな漢字を使用している。「迫田」はこうした谷間にある田の所有者が名乗ったものである。

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