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「お前はのんきなものだな!」外資系シゴデキ52歳が妻に向けた言葉の刃 趣味を楽しむ妻を受け入れられない歪んだ心理【夫婦関係修復カウンセラーが解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

外資系企業の管理職として、常にヘッドハンティングの対象となるほど有能な52歳のAさん。周囲からは「成功者」と羨まれますが、その内面は、常に結果を求められる極限の精神的ストレスで限界に達していました。

ある夜、14時間を超える激務を終えて帰宅したAさんは、リビングで楽しそうに趣味の刺繍に励む妻の姿を目にしました。そしてテレビのバラエティー番組を見て笑う妻の横で、ふと棚に積もった薄いホコリが目に留まります。

すると怒りが我慢できなくなったAさんは「俺がこれほど必死に働いているのに、お前はのんきなものだな!」と、妻に対して家事の不備を執拗に責め立ててしまいました。

Aさんの言葉に何も言い返さず、静かに部屋を去る妻の後ろ姿を見て、Aさんは激しい自己嫌悪と言葉にできない孤独感に襲われました。本当は怒りたいわけではない。ただ、この疲れと孤独を分かってほしいだけなのに、なぜ大切にしたいはずの妻にひどい態度をとってしまうのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。

「俺だけが損をしている」という被害妄想

ー仕事の重圧がなぜ妻への不満や怒りに変わるのですか?

自分ばかりが大変な思いをして、家族のために犠牲になっているという「被害妄想」が強くなっているからだと考えます。自分が極限まで余裕をなくしている時に、配偶者が目の前でリラックスしていると、無性に腹が立ってしまう。これは実は、女性が家事や育児でバタバタしている時に、リビングのソファーでスマホを眺めている夫に怒る心理と似ています。

Aさんの場合、仕事のストレスを家庭に持ち込み、「俺の方が大変なんだから、お前も同じくらいの緊張感で家を整えておけ」という八つ当たりをしてしまっています。これは心の余裕がないことの裏返しなのです。

ー完璧な家事を求める代わりに夫が本当に求めているものは?

Aさんが本当に求めているのは、ピカピカの部屋ではなく、帰宅した時の「いつも大変ね、ありがとう」といういたわりの言葉や、自分の話をじっくり聞いてくれる時間のはずです。

第一優先を自分にしてほしいという気持ちが、「家事を完璧にしろ」という攻撃的な言葉に変換されてしまっています。だから、家事を完璧にさせたところで、Aさんの孤独が癒えることはありません。

ー妻にいたわりの言葉をもらうためにはどうしたらいいですか?

「感謝の反対は当たり前」という言葉があります。いたわりの言葉が欲しいなら、先に自分から奥様にいたわりの言葉をかけるのが鉄則です。Aさんが仕事に打ち込めるのは、たとえ手抜きに見えたとしても、奥様が家のことを引き受けてくれているからです。

ゴミ屋敷になっていないのは、奥様がゴミ出しをしてくれているから。食事が並んでいるのは、奥様が用意をしてくれたから。その「できていること」に目を向け、まずは「ありがとう」と口に出してみてください。

人は変えられませんが、自分を変えることはできます。奥様を敵とみなして「何々してくれない」と不満を募らせるよりも、自分を支えてくれているパートナーとして大切に扱う方が、結果的にご自身の心も安定するでしょう。

◆木下雅子(きのした・まさこ) 行政書士、心理カウンセラー
大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。

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