スマートすぎた年上男性との初デート
「久しぶりに、“当たりかもしれない”と思えたんです」
婚活中の30代女性Aさんは最初そう感じました。マッチングアプリで出会ったのは、Aさんより年上の40代男性 。やり取りは丁寧で落ち着いており、実際に会ってみても清潔感があり、会話も自然でした。
初デートで案内されたのは、落ち着いた雰囲気のしゃれたレストラン。高級すぎず、それでいて特別感のある店でした。
「背伸びした感じがなくて、大人の男性ってこういうお店を知っているんだ、と思いました」
料理の説明も自然で、気遣いもできる。会話も弾み、Aさんの期待は高まっていったといいます。
しかし、その空気が変わったのは、注文のタイミングでした。
「先日と同じメニュー」で生まれた違和感
店員がコース内容を確認し、こう口にしました。
「本日は先日と同じメニューとなりますがよろしいですか?」
――“先日”。
その言葉が、妙に耳に残ったそうです。
さらに店員が笑顔で「いつもありがとうございます」と声を掛けたことで、Aさんの中に小さな違和感が生まれました。
もちろん、気に入った店に何度も通うこと自体は自然なことです。 ただ、初デートという場面で、そのやり取りがあまりにも自然すぎたのです。
「ここ、誰かとのデートで何度も使っているのかな、と急に冷静になってしまいました 」
それでもAさんは深く考えないようにしていました。いい店を知っていることは魅力でもある。そう思おうとしたといいます。
ところが、その違和感は2軒目で決定的になります。
「相変わらずモテますね」で一気に冷めた瞬間
男性が次に案内したのは、落ち着いた雰囲気のバーでした。
店に入るなり、店員が親しげに声を掛けます。
「いつもありがとうございます」
そして、追い打ちをかけるようにこう続けました。
「相変わらずモテますね」
男性は慣れた様子で苦笑いを浮かべていましたが、その瞬間、Aさんの気持ちは急速に冷えていったそうです。
「全部つながってしまいました。お店選びが上手というより、毎回同じデートコースなんだろうなって」
少し前までスマートな大人の男性に見えていた姿が、急に、自分だけの特別な時間ではなかったように感じたのです。
失礼なところはなく、気遣いも完璧でした。ただAさんは、「自分のために考えてくれた特別な時間」ではなく、「誰にでも再現できる流れ」に乗っていた感覚が拭えなかったといいます。
数日後、男性から届いた次の食事の誘いに、Aさんが返信することはありませんでした。