「東大卒らしいママ」が来る――懇親会で始まった妙な緊張感
中高一貫校の保護者同士の集まりでは、子どもの成績や進学だけでなく、親自身の職業や学歴までも噂になることがあります。
特に教育熱心な家庭が集まる学校ほど、その空気は独特です。
神奈川県内の中高一貫校に子どもを通わせるAさん(40代)が驚いたのは、ある懇親会でのできごとでした。
その日、会場ではあるママの存在が、静かに注目を集めていました。Oさんという保護者で、以前から子どもたちの間で「東大出身らしい」という噂が流れていた人物です。
Oさんの娘も成績優秀者として、校内にたびたび名前が掲示される存在だったそうです。さらに、Oさん自身もクラス役員を務め、保護者の前で堂々と話す姿が印象的だったことから、周囲の保護者たちは「やっぱり違う」「頭が良さそう」と、どこか本物感を抱いていたといいます。
お酒が進み、場が和み始めたころ、ある保護者が何気なく切り込みました。
「Oさんは、東大卒なんですか? うちの娘がお子さんから聞いてきて」
するとOさんは、少し笑みを浮かべながらこう返したそうです。
「まあ、東大と言えば東大なんですけど、近い名前の大学です」
その瞬間、テーブルは妙な盛り上がりを見せました。
「東京大学ではない東大」――始まった保護者たちの推理合戦
「え、東京大学じゃないんですか?」
「東△大学?」
「東京○○大学?」
「東□大学?」
まるでクイズ番組のような空気になり、周囲の保護者たちは半笑いで正解探しを始めたといいます。
Oさんは否定も肯定もせず、「まあ、そんな感じです」と含みを持たせ続けました。
最終的に判明したのは、確かに頭のいい学校でした。その瞬間、場にはなんともいえない空気が漂いました。
その大学名を聞けば、十分に難関大学であることは誰もが理解できるものでした。 けれど、あえて誤解の余地が残るような言い回しで、自分の学歴を少しだけ大きく見せるOさん。
Aさんは、こう振り返ります。
「その大学名を聞けば、普通に、すごいですね、となるような学校です。ただ、『東大と言えば東大』という含みを持たせた言い方をされたことで、誤認させる余白を楽しんでいるような、どこかこちらが試されている空気になってしまったんです」
しかし、本当に空気が凍りついたのは、その直後でした。
「その学部じゃ大したことないね」…突然始まった学歴格付け
別の保護者が、何げなく「夫が慶應出身なので、子どもも慶應に行かせたくて」と話したときです。
Oさんは、即座に反応しました。
「慶應の何学部ですか?」
やや唐突な質問に、その場は一瞬静まり返ったそうです。
ママが少し戸惑いながら学部名を答えると、Oさんは間髪入れずに言いました。
「へえ。でも、その学部じゃ大したことないですね」
その瞬間、テーブルに沈黙が落ちました。
つい先ほどまで笑い声が響いていたテーブルが、一気に静まり返ったといいます。
自分の経歴については曖昧な表現を使いながら、他人の学歴には容赦なくランク付けをする。そのアンバランスさに、多くの保護者が強烈な違和感を覚えたそうです。
帰宅後、保護者たちのLINEには「すごかったね…」「久々にリアル学歴マウントを見た」といったメッセージが、次々と届いたそうです。