「生後3日ほどの仔猫でした」
そんな一文とともに投稿されたのは、段ボール箱の中で母猫が懸命に子育てをする姿だった。投稿したのは、猫や犬の保護活動を行う「一般社団法人マハロ」(@mahalomitori)。SNSには「本当にありがとうございます」「どうか幸せに」といった声が寄せられている。
神社の段ボール箱の中で…生まれたばかりの命を発見
今回の保護は、神社関係者からの「妊娠しているかもしれない猫がいる」という連絡がきっかけだった。現場周辺ではアライグマの目撃情報もあり、もし出産していれば子猫が襲われる危険もあったという。団体は捕獲器を設置しながら状況を確認していた。
その後、「子猫の鳴き声がする」との知らせを受けて確認したところ、神社の敷地内の段ボール箱の中で、生まれたばかりの子猫4匹が見つかった。
外の環境は厳しく、「このままでは命の危険がある」と判断。親子での保護に踏み切った。
威嚇して消えた母猫、そして夜の捕獲…不安の中での対応
保護の過程は決して順調ではなかった。
夕方、捕獲器を設置した際には母猫の姿を確認したものの、威嚇したあと姿を消してしまったという。子猫の存在が分かり、捕獲器をそばに移動させても、母猫は警戒してなかなか入らなかった。
やむなく一度現場を離れた後、夜遅くに「捕獲器に猫が入っている」との連絡が入り、再び現場へ向かった。中に入っていたのは母猫と思われる猫だったが、その時点では授乳の確認ができず、本当に母猫なのか確信が持てなかったという。
「この子たちのお母さんだった」授乳を確認した瞬間の安堵
その後、子猫4匹も無事に保護され、自宅で様子を見守る中で、母猫がしっかりと授乳している姿を確認。「この子たちのお母さんだと確信できた時は、本当に安心しました」と振り返る。
現在、親子は安全な環境で過ごしており、母猫も徐々に落ち着きを見せている。子猫たちは目が開き始めるなど、小さな変化を日々見せながら成長しているという。
看取り保護の現場で見える現実「かわいそうの先まで考えて」
一般社団法人マハロは、高齢や病気を抱えた犬や猫の「看取り保護」を中心に活動している。きっかけの一つは、餌やりをしている人からの相談だった。高齢で衰弱した猫の保護依頼を受けた経験から、行き場を失った命を最期まで守りたいという思いが強くなったという。
一方で、現場では複雑な問題も多い。
「『かわいそうだから』という気持ちだけでは、結果的に過酷な環境を生んでしまうこともあります。『助けているつもり』が、本当の幸せではない場合もあるんです」
餌やり・飼育崩壊…人と動物の問題に向き合う理由
無責任な餌やりによって猫が増え、地域トラブルにつながるケースや、十分な医療を受けられないまま生活している動物も少なくない。また、飼い主の高齢化や病気などにより、飼育が困難になるケースも増えているという。
一方で、餌やりをしている人にも事情がある。
「孤独の中で、動物に『必要とされている』と感じている方もいます。だからこそ、人と動物の両方に寄り添いながら、関係を断つのではなく、“止まり木”のような存在でありたいと考えています」
カフェの利用が支援に…活動を支える仕組み
こうした活動を支えているのが「cafe 96base」だ。
カフェの売り上げの一部は保護活動費として活用されており、利用することがそのまま支援につながる仕組みになっている。店内やイベントを通して、動物福祉の現状を発信する役割も担っている。
「最期まで責任を持てるか」命と向き合うために
「より多くの方に活動を知っていただき、一つでも多くの命を救えるよう取り組んでいきたい」
小さな命を守る現場の裏側には、人と動物のさまざまな問題がある。だからこそ、動物を迎える前に「最期まで責任を持てるか」を考えることの大切さが、改めて問われている。