深夜、仕事帰りのコンビニへの道。いつもとは違うルートを選んだその偶然が、一人の女性の人生を大きく変えることになりました。ゴミ置き場の片隅で不安げにこちらを見つめていた、小さな小さな子猫。Threadsユーザー・山口夏実さん(@kimono673)と、2022年9月3日——奇しくも「グミの日」に家族になった愛猫「グミ」ちゃんとの、運命的な物語をご紹介します。
台風直前の救出劇、ゴミ置き場にいた子猫
2022年8月31日の深夜、仕事を終えて終電で帰宅していた山口さんは、普段は通らない道にあるコンビニへと足を向けました。すると目の前を、小さな影が横切ったのです。
「路肩のゴミ置き場でうずくまり、不安げな表情を浮かべながらこちらを見つめる姿に心を奪われました。おやつを与えるとすぐにビルの隙間へ隠れてしまって…。この地域はTNR活動が進んでいて子猫を見かけることは珍しく、親猫もいないようだったので、放っておけませんでした」
翌日、捕獲器を借りて保護を試みましたが、折悪しく台風が接近。激しい雨に見舞われ、一度は断念せざるを得ませんでした。それでもあきらめきれず、出会いから3日後の2022年9月3日の朝、ついに保護に成功したのです。
「すぐに病院へ連れて行くと、生後推定2カ月だとわかりました。体中についた粘着剤の汚れを洗い落としてもらい、健康診断を受けました。幸い大きな異常はなく、ホッとしたのを覚えています」
譲渡のつもりが…膝上で動かない甘えん坊を家族に
当初、10歳になる先住猫がいたこともあり、山口さんは「保護したあとは里親さんを探そう」と考えていました。しかし、その決意は一瞬で揺らぎます。
「病院での処置を終える頃には、もう手放したくない、我が家で迎えようという気持ちに変わっていました。名前は、保護した日が9月3日だったので『グミ』と命名。正式に家族の一員になりました」
お迎え初日から、グミちゃんは驚くほどの甘えん坊ぶりを発揮しました。
「私の膝の上から一歩も動かなくなって…。外でよほど寂しくて怖い思いをしてきたのだろうな、と感じました」
それからのグミちゃんは、少しずつ家での暮らしに慣れていきました。もう怖いことも不安なこともない―そう思えるほど、元気にすくすくと成長していったのです。
「ケージが届き、トイレやごはんを設置すると、よく食べ、よく眠ってくれるようになりました」
先住猫はというと、グミちゃんを少し離れた場所から見守っていたといいます。
「お互いに適度な距離を保ちながら、それぞれのペースで過ごすようになりました」
子猫が運んできた「移住」という新しい人生
グミちゃんは、山口さんの人生にさらなる大きな変化をもたらしました。以前からぼんやりと考えていた「移住」が、グミちゃんとの生活をきっかけに、一気に現実味を帯びて動き出したのです。
「グミを保護したことで具体的な計画を立てるようになり、1年半後、ついに自然豊かな土地へと移住しました。グミは新しい環境にすぐ馴染んで、今は広いリビングを駆け回り、窓から野鳥を眺めて過ごしています」
今でも窓や玄関が開くと数歩下がって隠れるなど、外の世界への「不安」を記憶している様子のグミちゃん。だからこそ、安全な家の中、特に冬のストーブ前や温かいお布団がお気に入りの場所です。
「保護から移住まで慌ただしい日々でしたが、この豊かな自然の中での暮らしを一番喜んでいるのは、私自身かもしれません。グミは、まだ3歳。これからも病気やケガをせず、一緒に楽しく過ごしていきたいです」