『インドネシア、災害時でも必ずこういう人がいる』
インドネシア共和国・バリ島に住み、その暮らしや現地の様子を漫画にして公開されているアマットル・キナさん(@ama_kina)。
災害時でも“おおらか”で“陽気”な、現地の人々の様子を描かれました。
浸水した街でサーフィン?
「常夏の国」といわれ、リゾート地として人気の高いバリ島ですが、近年では異常気象などの原因により、洪水が頻発するようになったといいます。2025年9月にも、集中豪雨によって洪水や建物倒壊が起こり、18人が死亡する被害が出ました。
街は完全に浸水し、大パニック。
レスキューが出動し、懸命な救助活動が行われていました。
ところが――。
命がけな彼らの横を、るんるんとサーフボードで通り過ぎてゆく男性が。
そんな彼に、救助隊員も救助された家族も思わず笑ってしまいます。
さらにその傍らでは、水浸しになった街のど真ん中で、平然と食事している人の姿もあるのでした。
「必ずといっていいほど、愛すべき能天気がいるのがこの国」
という言葉で、アマットル・キナさんは漫画を締めくくっています。
“おおらかさ”と“陽気さ”を育てる南国の気風
バリ島には、1年を通して乾季(4月~10月)と雨季(11月~3月)があり、特に雨季にはスコールの影響から洪水が発生したりすることも珍しくはありません。しかし近年では、土地開発や異常気象が進んだことから、年々その頻度は上がり、発生場所や規模も拡大しているといいます。
アマットル・キナさん自身も、直接洪水の被害に遭ったことはないものの、大雨が降った後しばらく外出ができなくなったり、雨漏りで家の中が水浸しになったり――という事態には度々遭遇しているとのこと。
災害が増えているというのは、由々しきことです。にもかかわらず、現地の人々は、そのような場面でもどうして“能天気”でいられるのでしょうか?
「気候や環境の影響も大きいのでは――」
アマットル・キナさんは、そのように分析しています。
植物が育ちやすく、1年を通じて食べ物に困りにくい南国の環境であるがゆえ、全体的に“おおらか”で“陽気”な気風が漂っているのかもしれません。
「もちろん、家が崩れて流されたとか、家族が被害に遭ったなどの場合は、さすがにそんな余裕はないと思いますし、救助は真剣に行われています。心理的に人と人との距離が近いので、助け合いも自然に行われています。ただ、切り替えが早く、ムードを引きずらない人が多い印象です」(アマットル・キナさん)
今回の漫画が公開されたX(旧Twitter)のリプ欄にも、そんなインドネシアの人々の気質に対する声が多く寄せられていました。
「こういうおおらかさこそ南国の真髄だよね」
「災害をどう過ごすか、お国柄が出てますね」
「ジャカルタ(※インドネシアの首都)の洪水の時も必ず遊んでる人達がいた。災難でも前向きな愛すべき国民性」
我々日本人も見習うべきところが…?
インドネシアの人々のおおらかさを称える人がいる一方で、このような見解を示す人も。
「日本では不謹慎だとかで周りに怒られるんよな」
「日本だと大炎上不可避」
確かに、日本では災害などの有事の際には、全体的にシリアスなムードになり、そんななかで平然と好きなことをしていると、場を弁えない非常識な人だとみなされてしまう傾向があります。
もちろん、場の空気を読んだり、周囲に合わせて行動したりすることは、日本のよき文化といえます。大変な経験をした人のことを思いやり、気持ちに寄り添おうという精神も、日本人の崇高なところといえるでしょう。
しかし、それらがあまりにいきすぎると、社会全体が重苦しくギスギスした雰囲気になってしまう、というデメリットも存在します。
「どちらが良い/悪いという話ではありませんが、バリ島で感じる『深刻になりすぎない空気感』や『切り替えの早さ』は、日本人にとっても少し参考になる部分があるのではないかと思います」(アマットル・キナさん)
さらに、アマットル・キナさんは、このようにも語られました。
「日本でもひと昔前は、現在よりどこかユーモアや軽やかさがみられる場面もあったように感じます」
近年は情報化が進み、悪目立ちする人はすぐにネットで拡散され、叩かれてしまいかねない時代。そんな監視し合う風潮が強まった現代社会において、以前よりも同調圧力や集団意識といった要素が強まってしまったとも考えられます。
今後、昔のようなおおらかさを取り戻すことも、大切になってくるのかもしれません。
なお、先述の通り、アマットル・キナさんの家はよく雨漏りを起こすそうです。近所でも同様の事態に見舞われる家が多いといいます。そのため、大雨の後は毎度、あちこちから屋根を修理する音が聴こえてくるとか。
「もはやその音に風情すら感じるようになってきました(笑)」(アマットル・キナさん)
これも、現地のおおらかな雰囲気が感じられるエピソードですね。
インドネシアの人々のように“おおらかさ”や“陽気さ”をもって臨むことも、我々がこれから生きやすくなるためには必要なことなのかもしれません。
◇ ◇
バリ島に住んで約14年になるというアマットル・キナさん。
“バリ・ヒンドゥー”という独自の文化や宗教が生活に深く根付いている点や、今回の記事のテーマにもなった人々の“ユーモア”や“おおらかさ”が現地の魅力だといいます。
また、以前より、そんなバリ島での生活の様子は、漫画として公開されてきました。
「元々は『南国どぅる〜ん日記』というブログで日常漫画を投稿していたのですが、そのなかで書籍化もさせていただきました(『バリ島に女ひとりで住んでみた。』[TOブックスより2015年発行])。まだ住み始めた年数も浅い頃に描いたものなので、今では失ってしまった(笑)、新鮮な視点が詰まっていると思います」(アマットル・キナさん)
2025年からは、バリ島での生活や文化の違いをテーマにした漫画制作を再開。「日常の中で感じたことを、できるだけ楽しく共有できたらと思い、SNSで発信していますので、気軽に見てもらえたら嬉しいです」とのことでした。
■アマットル・キナさんのX(旧Twitter)はこちら
→https://x.com/ama_kina
■アマットル・キナさんの書籍『バリ島に女ひとりで住んでみた。』はこちら(Amazon)
→https://amzn.asia/d/0bDRKnib
■アマットル・キナさんのブログ『南国どぅる~ん日記』はこちら
→http://blog.livedoor.jp/amakina/