tl_bnr_land

国勢調査「恥ずかしい」 大正9年に調査開始も浸透進まず 小唄、浪曲、漫才…あらゆる芸能を動員する中で生まれた「国調レコード」って?

京都新聞社 京都新聞社

主は我がまま、私はきまま、国勢調査は有りのまま…。5年に1度行われ、2025年が22回目だった国勢調査。戦前には新奇な調査に国民が協力するよう、小唄や浪曲、漫才などの芸能を通じた宣伝が試みられた。調査の意義や答え方を伝える曲や語りを吹き込んだ「国調レコード」を聴く講座が京都市立芸術大(下京区)であった。ユーモアと時代を感じさせる中身とは-。

 同大学日本伝統音楽研究センターの大西秀紀客員研究員(70)が講演した。

 国勢調査は1920年に始まり、国民全員の回答を目指した。先例はなく、浸透が課題だったと大西さんは指摘。大阪府は当時スターだった浪曲師らを「宣伝隊」とし、浪曲上演後に職員が制度を解説する会を催した。

 30年の第3回調査では、さらに大衆芸能を広く活用。調査にちなむ作品を創作し、レコードで広めた。

 講座では、大西さんが発見した7枚を再生し、参加者約20人と聴いた。

 「国調レビュー」は女性グループ「白鳥座」のコント。調査員が飲食店を訪れ、客や従業員に「一口に言えば人口調べ」と説く。制度を知らない客のボケで笑いを誘いつつ、内縁関係や配偶者の死別など、回答に注意が必要なケースの質疑応答集になっている。

 「掛合万歳 三畳一間」は、横山エンタツが花菱アチャコに解説する。アチャコは本当の誕生日が戸籍と違い「罰金取られまっせ」とおびえ、内縁関係も「恥ずかしい」と隠そうとする。エンタツは、国勢調査は刑罰や課税につながらないと説得。プライベートを正直に明かさせることが難題だったとうかがえる。

 他に、ヒット曲を替え歌にした小唄、皇室の尊さと合わせて調査への協力を呼びかける浪曲などもある。

 「具体的な情報を伝えるものからイメージだけのものまである」と大西さん。ジャンルを使い分け、近代的な制度をなじませた工夫を評価した。

 当時の新聞によると、国調レコードは12万枚を製造し、劇場や喫茶店で活用予定とあるが、現存数が極めて少なく「実際は数百枚かも」。だが、他府県が作った情報はなく「景気の良かった大大阪時代らしい」と述べた。

 講座は、同センターが主催し学外からも参加できる「伝音セミナー」の初回として昨年12月18日に開催された。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース