「アメリカで働いていた時に、一番驚いたのはこれだった」
シリコンバレーの勤務歴など自身の就業体験を踏まえ、これからの時代を担う若手社員に向けた仕事術に関する発信をされているおいぬさん(@oinu_koinu_13)。
アメリカで働いた際に意外だと感じたことについて、Xに投稿されました。
意外にもドライな環境
おいぬさんは当初、アメリカの人たちに対して、フランクで陽気で誰とでも仲良くなる――そんな印象を抱いていたそうです。
ところが、アメリカに来たおいぬさんが、職場に対してまず抱いた感想はこのようなものでした。
「人間関係が、想像以上にドライ」
昼休憩の時間になっても、誰もランチなどに誘ってはこず、イヤホンをつけてスマホを見たり、黙って席を立ったりなど、各自が思い思いに過ごしていたとのこと。
部のチームのメンバーが転職するとなっても、日本のように送別会をしたり寄せ書きを書き合ったりすることはなく、軽く祝福やお別れの挨拶をするだけ。さらに、その仲間がいなくなっても、翌日からの仕事が滞ったりすることは一切なかったといいます。
仲良くすることと働きやすいこととは別
あまりにドライな職場環境を、おいぬさんは最初、キツいと感じていたそうです。
なぜ社員同士仲良くしないのか――ある時、おいぬさんは思い切って同僚に聞いてみました。すると、思いもよらない言葉が返ってきたといいます。
「休憩は自分の時間だろ?」
仕事は仕事、プライベートはプライベートと、両者を分けて考えていたのです。
冷たいのではなく、役割に正直なだけ――その視点で考えると、ここの職場の有り様は「人間関係で縛られない分、色々とシンプル」であることにも気づきました。
互いに相手の内面には踏み込まず、干渉しない。その一方で、仕事の線引きは非常に明確でした。評価には感情面はもちこまれず、誰かの機嫌に振り回されることもありません。仲良しではなくても、信頼が成立する――そんな空気感がありました。
その後、日本に戻ってきたおいぬさんは、「空気を読む疲れ」、「機嫌を取る消耗」、「関係を壊さないための我慢」といった、アメリカにいた頃とは対照的な日本特有の気風を強く実感することになったといいます。
「(アメリカは)優しさがある社会じゃなかった。でも、消耗しにくい社会だった」
おいぬさんは、仲良くすることと、働きやすいことは別だということを学んだのでした。
職場の人間関係に疲れている人の働き方の参考に
「人間関係で疲れ切ってる人ほど、このドライさは救いになるかもしれない」
このような言葉で、おいぬさんは投稿文を締めくくっています。
そんなおいぬさんのXのリプ欄にも、共感する声が多数あがっていました。
「ドライな方が合ってるなと感じることあります」
「優しさや気遣いがある一方で、関係を壊さないための労力って大きいですもんね」
「ドライって冷たいように見えますが、実は相手に依存や執着をさせないという良い側面もあるんですよね」
「私も昔アメリカに行ったときに、『日本人はいつも慣れあってやがる』って大学生に言われたのが今でも忘れられません」
「日本の同調圧力がいじめやパワハラの温床になっている」
「文化の違いに触れることって本当に大切ですよね!思考の幅が広がると思ってます」
もちろん、気遣いや優しさを重んじる部分が、日本社会の良さでもあるでしょう。しかし、一方でそれが精神的なストレスを生んだり、しがらみや軋轢の原因になりがちなのも事実。おいぬさんが言うように、アメリカの合理主義的な面は、より働きやすい環境をつくるための一つの参考になるかもしれません。
――プライベートには立ち入らない風潮があったというアメリカの職場ですが、仕事時についてはいかがでしたか?
おいぬさん:雑談や私生活への踏み込みは少ないですが、業務上の議論はとても多かったです。仲が良いかどうかに関係なく、必要な情報は共有されて信頼は仕事を通じて積み上げていく感じです。
――日本の職場と比べて、どのようなところにメリットがあると感じましたか?
おいぬさん:良いと思ったのは、「役割と責任が明確」、「成果やアウトプットで評価される」、「誰が言ったかより何を言ったかが重視される」という点です。日本のように気を遣うという消耗が少なく、仕事そのものに集中しやすい環境だと感じました。
――逆に、アメリカで働くことで、日本の在り方が良いと思えた部分はありますか?
おいぬさん:日本の良さはチームとしての細やかな配慮や、長期視点で人を育てる文化ですね。困っている人を察してフォローする、言葉にしなくても支え合うというような部分は日本ならではです。あと、仕事の質や丁寧さ、責任感の強さは非常に高いと思います。アメリカでは「割り切り」が強い分、雑になることもありますが、日本はそこを拾い上げる力があると感じます。
――アメリカであっても、ご自身の職場とはまた違った環境のところもあったりするのでは?
おいぬさん:もちろんあります。アメリカは一括りにできる国ではなく、業界や企業規模、地域によっても雰囲気はかなり違うようです。スタートアップでは日本以上にフラットで距離が近い職場もありますし、逆に大企業では非常にドライで個人主義が徹底されているところもあります。今回の投稿はアメリカの一側面であって、絶対的な正解ではないです。ただ、日本との違いを通じて、働き方を考える材料になればという思いで、今回の投稿をしました。
――「働き方を考える」という点について。具体的にこれからの日本社会で必要だと思うことはどのようなことですか?
おいぬさん:「仲良くすること」と「働きやすさ」を切り分けて考える視点ですね。日本では人間関係を円滑に保つことが重視されますが、そのために無理をしたり言いたいことを飲み込んだりする場面も多いです。すべてをアメリカ型にする必要はありませんが、「成果と感情を切り分ける」、「役割と責任を明確にする」、「合わない人と無理に分かり合おうとしない」こうした考え方を取り入れる余地は大きいのではと感じてます。
◇ ◇
Xやnoteを通じて、社会で働く若い方々に向けたアドバイスを日々行っているおいぬさん。発信をされている理由について、このように話されました。
「仕事について発信をはじめたのは、現場で新入社員を指導する立場になったことが大きいです。
実際に隣で見ていると、『そこまで自分を責めなくていいのに』と思う場面が本当に多いんです。
ミスをしたとき、
『自分は向いてないんじゃないか』
『社会人として失格なんじゃないか』
そこまで一気に考えてしまう子もいます。
アメリカで働いていたときは、仕事と人格がそこまで結びついていませんでした。
うまくいかなかったら「じゃあ次どうする?」で終わる。
合わなければ環境を変える、という発想も自然でした。
でも日本の現場では、空気を読む、周りに迷惑をかけないなど、こうした意識が強くて、若手ほど一人で抱え込みがちです。
だから私は、現場で感じたことをそのまま言葉にしています。
『それはあなたの能力の問題じゃない』
『新人なら普通だよ』
そう伝えたくて発信しています。
働くのがしんどくなる前に、少し肩の力を抜いていいということ。
仕事は人生全部じゃないし、合わないやり方があるのも当たり前。
新入社員の人たちが、必要以上にすり減らずに成長できるように。
それが今の自分にできることだと思っています」
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