「一回きりのテーマソングと思っていたら、今後もずっと演奏され続けると知り、うれしいです」と園部高3年の人見帆風(ほのか)さん(18)は控えめの笑顔を見せる。京都府丹波地域の中高生から社会人まで一堂に会する演奏会「口丹バンドフェスティバル」のテーマソングを作曲した。丹波の自然を壮大に表現。半世紀を超える伝統ある演奏会に新たな1ページを加えた。
曲作りはフェスを盛り上げようと、演奏会の実行委員会が企画。歌詞と曲は公募形式で、先に選ばれた園部中2年の男子生徒が作った歌詞に曲を付けた。
「(すでに詩があるため)文字数や音の数が決まっている。何拍子にするのか、さびをどう盛り上げるのか、頭を悩ませた」と振り返る。高校の音楽の授業で習った作曲の理論を用いながら、頭の中に浮かんだイメージをピアノで弾いて、何度も修正した。完成は1カ月を要した。
高校では吹奏楽部ではなく、バレーボールに打ち込んだ。作曲の原体験は小学生3、4年の頃。3歳から通っていたピアノ教室で、創作した曲を自ら演奏する発表会があった。飛び跳ねたり、転がったり、寝転がったりする愛猫の1日の様子を軽快な曲に仕上げた。緊張していたこと以外にあまり記憶はないが、家族は喜んでいた。
しかし、中学校進学を機にピアノからは遠ざかった。「実はあまりピアノが好きではなかった」と打ち明ける。ほかの習い事との掛け持ちが大変で、教室で出された課題曲が練習不足もあり、うまく弾けないことがあったからだと振り返る。
高校から再び弾き始める。将来の夢は保育士や幼稚園教諭で、子どもの前で演奏する機会も多く、練習のつもりだった。すると、ことのほか楽しく弾けたという。
演奏会の実行委員長で、同高で音楽授業を教える田中史人教諭(46)は、完成した曲について「奇抜じゃない。みんなが覚えやすく、口ずさめる。合唱コンクールで歌うような曲」と評する。来年以降のフェスのフィナーレで演奏されるといい、きっと多くの人に愛され、歌い続けられる曲に育っていくだろう。