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気になったジムニーは「公道走行不可」で「販売可」!? 大径タイヤや化粧ナンバー…夢を見せる「展示仕様車」の意外な実情

鈴木 博之 鈴木 博之

国内最大級のカスタムカーイベント「東京オートサロン」。2026年は1月9日から11日まで、3日間で27万人以上が来場し、出展社数は389社、展示車両は856台と、その規模は名実ともに日本を代表するモーターショーと言えます。会場には最新パーツを装着したデモカーや、各メーカー、ショップが提案するカスタムカーが並び、完成度の高さに足を止める来場者の姿があちこちで見られました。

なかでも目を引いたのが、スズキ・ジムニーシリーズです。リフトアップされた車体に大径タイヤ、無骨さを前面に押し出したエクステリア。ジムニーならではの世界観に惹かれ、「これ、いいな」と思わず足を止めた人も多かったのではないでしょうか。

5ドア化で注目を集めた「ジムニーノマド」

スズキのジムニーシリーズは、軽自動車規格の「ジムニー」、普通車規格の「ジムニーシエラ」、そして5ドア仕様の「ジムニーノマド」の3シリーズで構成されています。

とくにノマドは、2025年1月末の発表直後から注文が殺到し、短期間で受注停止となったことで話題になりました。その後、約1年ぶりに受注が再開されたこともあり、ジムニー人気の根強さを改めて印象づける存在となっています。

5ドア化によって後席や荷室の実用性が高まったノマドは、従来の3ドアジムニーとは異なる使い方を想定するユーザーからも注目されています。こうした流れもあって、東京オートサロンの会場では、ノマドを意識したカスタム提案や、ジムニーシリーズ全体を見据えた展示が目立ちました。

ジムニーシリーズは、改造パーツの選択肢が非常に豊富です。保安基準の範囲内で楽しむライトカスタムから、構造変更を前提とした本格仕様、競技車両レベルの極端な改造まで、カスタムの振れ幅はかなり広い。そのため、会場には同じジムニーでありながら、立ち位置がまったく異なる車両が混在しています。

展示車両のスペックボードの表示は大きく4つに分けられる

展示車両の前に掲示されたスペックボードを見ると、「公道走行可」「公道走行不可」「販売可」「販売不可」といった表記があり、その組み合わせが車両ごとに異なっていることに気づきます。「この車は走れるのか」「購入したあと、どうなるのか」と疑問を感じた来場者も少なくありません。

会場に展示されているジムニーの表記は、大きく4つに整理できます。まず「公道走行可×販売可」。保安基準を満たした状態で改造されており、そのままナンバー取得・販売が可能な車両です。ライトなリフトアップやエアロパーツ装着など、現実的に乗れるカスタムが中心となっています。

次に「公道走行可×販売不可」。ショップのデモカーやオーナーカーで、保安基準は満たしているものの非売品というケースです。構造変更を前提としている車や、「この仕様であれば公道走行は可能」という立ち位置の車もここに含まれます。

来場者がとくに混乱しやすいのが、「公道走行不可×販売可」です。これは、東京オートサロン向けの仕様として仕上げられた車両や、展示を前提に改造を施した車が該当します。車高を大きく上下させている、大径タイヤの影響でハンドルが切れない、オーバーフェンダーを装着している、化粧ナンバーを装着している、フロントウインドウにステッカーを貼っているなど、その展示状態では公道走行に適さないと判断されるケースです。ただし、部品の付け替えや仕様変更、必要に応じて構造変更手続きを行うことで、公道走行が可能となる場合もあります。

最後の「公道走行不可×販売不可」は、大幅な改造を施したデモカーやレーシングカー、東京オートサロン向けに仕上げたショーカーなどです。そもそもエンジンをかけて走ることができない車や、ナンバーを持たない車も含まれます。

取材を進めると、仕様としては公道走行が可能であるにもかかわらず、「公道走行不可」と記載されている車両が見られることもありました。これは、表記を巡る解釈の違いによる誤解を避けるためや、イベント運営側や行政への配慮、出展社側のリスク管理といった理由によるものと考えられます。過去には展示表記について指摘が入った事例もあり、現在は慎重な表記を選ぶ出展社が増えているのが実情です。

「展示」と「現実」を切り分けて考える

東京オートサロンは、あくまで夢を見せる場所です。見た目を重視した改造や、非日常的な仕様の車両が並ぶのは、このイベントならではの魅力でもあります。一方で、展示車両のスペックボードは、その車の「可能性」や「前提条件」を示しているにすぎません。公道を走れるのか、販売後にどのような対応が必要なのか。その背景を理解したうえで展示を見ると、ジムニーのカスタムはより立体的に見えてきます。それを意識するだけで、東京オートサロンの楽しみ方は少し変わってくるのかもしれません。

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