生前、よくかけられていた言葉を、猫や犬、たぬきなどの動物が“自分の名前”と勘違いしている――。漫画家の桜プリンさん(@kuiruri)は、そんなハートフルな動物漫画をXで公開中だ。
「かわいい」や「だいすき」、「くいしんぼう」など、ほっこりする言葉を“自分の名前”と思い込み、微笑む動物たちの姿はペットロスの傷を癒してもくれる。
幼い頃から知っていた知人の愛犬の死が作品制作のきっかけに
自身も、猫と暮らしているという桜プリンさん。作品制作のきっかけは、幼い頃から知っていた知人の愛犬が亡くなったことだった。
その子に思いを馳せた時、「天国ではきっと楽しく暮らしていて、少しおっちょこちょいなこともしているかもしれない」と想像したそう。それを機に、Xで見かけたことがあった「天国では自分の名前を勘違いしているかもしれない動物」という投稿から着想を得て、天国で自分の名前を勘違いしている動物の漫画を描くようになった。
作品を描き続けていると、思わぬ反響が…。「うちの子も名前を勘違いしていたかもしれない」という感想と共に、思い出の写真が送られてくるようになったのだ。
どれも、本当に素敵なエピソード…。送られてくるエピソードを読んで胸が熱くなった桜プリンさんはそれらを形にしたいと思うように。SNSに投稿されている思い出を見て、依頼者が愛している“うちの子”が自分の名前を勘違いしている漫画を描くようになった。
「基本的にはご縁があった方の思い出を無償で描いていますが、描き切れなかった思い出はご本人様が投稿されている思い出を見て、有償で描くこともあります」
依頼される動物は多岐に渡り、猫や犬はもちろん、ウサギや鳥などを描くこともある。
「受注作品を描く時は、毛色や模様をできるだけ近づけられるように意識しています。同じ種類の動物でも模様や色合いは、本当に様々。描くたびに新たな発見があります」
また、桜プリンさんは“幸せそうな姿”や“笑顔”を描くことも大切にしている。
「天国に行った子たちはきっと安らかに笑顔でいるはずなので、描かせて頂く子は基本的には幸せで笑顔になってもらっています」
亡き“うちの子”へ向けられる愛に涙して漫画を描く日々
天国へ旅立った動物と飼い主の間には、唯一無二の思い出がある。制作を通して、そうしたオンリーワンのエピソードやうちの子を思う飼い主の愛に触れると、桜プリンさんは涙してしまうこともあるという。
「これまで描いてきた作品は、みな等しく思い出深い。制作中はいつも、その子がどれほど大切にされ、どれほど深く愛されていた存在なのかを痛感させられます」
なお、作品の完成後、依頼者からは「うちの子が帰ってきた」や「泣くまいと思っていたのに泣いてしまった」、「天国で、こんなことを言っているのかな」などといった温かい感想が寄せられている。
「本当にありがたく、励みになる声ばかりです。どの言葉も毎回胸に染みて、むしろこちらが涙してしまうこともあります」
ペットロスに苦しむ人たちに“ささやかな救い”を届けたい
愛する子を亡くした方たちが少しでも笑顔になれるよう、ささやかな救いを届けたい――。そんな想いが込められている本作には、ペットロスの苦しみを緩和する力もあるように思える。
「ペットロスの痛みを和らげるには、時間が必要です。誰に励まされようと、どんな作品に触れようと、自分にとって一番の救いだった子は戻ってきません。きっととても膨大な時間をかけ、徐々に泣く回数を減らして痛みを和らげていくしかないのだと思います」
それでも、その過程の中で自分が描いた漫画が、ほんのひと時でも“ささやかな救い”になれたら、それ以上に嬉しいことはない。桜プリンさんはそう話し、ペットロスの痛みと生きている人を、そっと支える。
生前、私は大切なうちの子にどんな言葉を多くかけていただろうか。そう想いを馳せながら、うちの子との日々を振り返ることができる『自分の名前を勘違いしている子』は強い喪失感を抱いた時に効く、優しい作品だ。