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【ばけばけ】ヘブンの「嘘、キライ」で鎖が外れたーー「だらくそが〜!」にこめられた松野家・雨清水家の思い

佐野 華英 佐野 華英

連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合ほか)の第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」が放送され、トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)が結婚した。

ヘブンと生きていくと決めたトキの意思を聞いた松野家は、案の定、大混乱に。しかし、ふたりの結婚にいちばん反対すると思われていた祖父の勘右衛門(小日向文世)が意外な行動に出る。トキのヘブンへの思いを認めるやいなや、すぐさま井戸端にいた想い人・タツ(朝加真由美)に「便乗プロポーズ」を遂げて、受け入れられたのだ。こうして、松野家から2組の「新婚」が誕生した。

しかしトキは、これまで女中としての給金を松野家の借金返済と雨清水家への毎月の仕送りに充てていたことをヘブンに言い出せずにいた。お金のためにヘブンと結婚したと思われたくなかったからだ。ヘブンは、すべてを打ち明けないトキに苛立つ。

かくして、トキとタエ(北川景子)の関係、三之丞(板垣李光人)が社長であるという建前なども含んで、さまざまな嘘を抱えながらヘブンとトキの結婚パーティーが行われた。

松野家・雨清水家の「煮え切らない思い」がずっと背景としてあった

ヘブンは宴の席で、「家族、ナル、デキナイ」「嘘、キライ。ミンナ、嘘ツキ」と言う。1月9日に放送された第70回では、ヘブンの言葉をきっかけにトキ、フミ(池脇千鶴)、タエ、三之丞がそれぞれの真実を打ち明けた。

この緊迫した14分ワンシーンについて橋爪さんは、「最初に台本を読んだ時点で、とても気合の入る大事なシーンだと思って臨みました」と語り、こう続ける。

「これまで『ばけばけ』は14週にわたって、家族の物語を描いてきました。トキが生まれたときから松野家と雨清水家のあいだには秘密があり、折にふれてそれが明るみになっても、解決したようで解決していなかった。トキをはじめとする人物たちの中の『煮え切らない思い』がずっと、このドラマの背景としてありました」

「それぞれのそうした複雑な思いに、ここでいったん『。』がつく重要なシーンでした。キャストの皆さんのお芝居はとても感情が乗っていて、圧倒されましたし、中には泣いているスタッフもいました。いいシーンって、どんどんみんなの感情が高まるので長くなってしまって、『あの顔も使いたい、この顔も使いたい』となって、1回の放送分に収まり切らない録れ高になってしまうこともしばしばで。14週の演出を担当した村橋(直樹/チーフ・ディレクター)もあの披露宴のシーンの編集は大変だったと思います」

ヘブンという外的要因をぶつけることで鎖が外れた

また、ヘブンの「嘘、キライ」という言葉をきっかけにみんなの感情があふれ出す作劇については、

「いずれにせよ松野家と雨清水家のお金の問題は、どこかでちゃんと話をしなくてはならないことです。かといって、普通に対峙していたらなかなか解決するのは難しい話だと思うし、トキも怖かったはず。ヘブンという外的要因をドーンとぶつけることによって、複雑に絡み合っていた感情が堰を切ったように流れ出した」

「もちろんすべてうまくいくわけではないですが、『思い切って鎖を外してみたら、わりとうまくいくこともある』って、世の中には往々にしてあると思うんです。そんな『鎖外し』によって、三之丞もタエも新たな人生の一歩を踏み出すことができたのだと強く感じられたシーンになりました」

と話す橋爪さん。

いろいろあるけれど、カラッと受け止めるのが『ばけばけ』らしい

それぞれが思いの丈を吐露した後、司之介(岡部たかし)の提案で、全員で「だらくそが〜!」と外に向かって叫んで第14週が終わった。この「オチ」がまことに『ばけばけ』らしい。

「『家族のあり方』みたいなことが一気に回収するシーンで、辛く重々しいシーンにはしたくなかったんです。『蛇』と『蛙』も言っていたように、『祝いの席には決してふさわしくない言葉』ではありますが、そんな言葉だからこそみんなすべてを吐き出せたと思うし、心に沁みるシーンになったのかなと思います。人生にはいろんな大変なことが起こるけれど、カラッと受け止めて、カラッと終わらせるのが『ばけばけ』というドラマだと思いますし、ふじき(みつ彦/脚本家)さんの脚本の真骨頂ではないかと思います」

次週、第15週「マツノケ、ヤリカタ。」では、ヘブン・トキ夫妻と松野家の同居がスタート。ここでもまた一波乱起こりそうで……。

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