キャバ嬢も風俗嬢もホストもセクシー女優も、売れっ子における共通点は「顔」と「トーク力(応用力)」であることは事実です。しかし、これだけでは務まらないのが人気商売の難しいところ。演者としてはどんなに完璧でも、例えば頻繁に体調不良になってしまう人は仕事に支障が出ます。つまり、売れっ子の共通点かつ必要不可欠な要素は「体力があること」なのです。
飲み屋(キャバクラやラウンジ、スナックなど)に関しては、座ってしゃべっているだけと思われがちですが、そもそも「飲酒を続ける」という行為は身体への悪影響があります。そのため身体が丈夫でないと、飲酒が伴うお仕事のフル出勤は難しいでしょう。
同様にセクシー女優であれば、カメラに撮られてちやほやされるだけと思われ、風俗嬢は男性の相手をするだけと思われがち。しかし、「〇〇するだけ」で稼げるほど、どの職業も甘くありません。実際はとても泥臭く、想像以上に体力を要されるのです。
飲みまくって毎日アフター、迎え酒に同伴を繰り返す日々のキャバ、ホスト
飲み屋で働くキャストの勤務時間そのものは短く、朝まで営業する店でない限り稼働は5時間以下です。また売れっ子になると出勤時間が遅めに設定されるため、中には2,3時間しか働かないキャストもいます。
しかし、たったの数時間でも大量のシャンパンのオーダーをもらえば、限られた時間内で飲み干さなければなりません。さらに人気キャストは、アフターなどお客さんと外の付き合いも多く、「時間外営業」も普通です。
短時間でパパッとシャンパンをさばいてアフターでもアルコールを摂取し、朝帰りして昼夜逆転なんて生活を毎日繰り返せば、身体にダメージが蓄積するのは当然。最近はノンアルコール営業のキャストも増えましたが、それでも高額シャンパンのオーダーをもらえば多少は口をつけるのが鉄則です。
人気のキャストは、酔ったままアフターを3件こなす人もいるくらいですから、体力なしでは売れっ子ルートは開けません。
12時間拘束の現場3連続!労働基準法適用なら明らかに引っかかるセクシー女優
ビデオ業界はおろか、芸能系の仕事内容自体が「基本的に拘束時間が長い」せいで、労働基準法を無視したスケジュールが組まれます。
売れっ子女優だと、終日拘束の現場×連勤なども当たり前。たいして売れていなかった元セクシー女優の筆者でも、12時間拘束の現場を3日連続でこなしたことがあるほどです。
出演作品によっては同日で複数の現場をこなすこともよくある話で、短時間拘束の撮影を1日に2件おこなうケースもあります。例え1つの現場が6,7時間拘束だったとしても、2件行けば14時間以上の稼働になってしまいます。
また、ビデオ撮影が少ない月では、週刊誌のグラビアやイベント出席、メディア出演にYouTube収録などもこなし、「何時に終わるかわからない仕事」はビデオ撮影以外にも多く発生します。そのため、たとえ人気がある女優でも、丈夫な身体と体力がなければ事務所のイチオシ候補から外れてしまうことも…。
“体力なし子”はお呼びでない、ガッツが必要な風俗系
風俗系についてはそもそも肉体労働のイメージが強いです。これは実際にその通りなのですが、現実はもっとシビアで体力がない子は「不利」ではなく「お呼びでない」と評価されます。シフトの融通が利いてノルマもほぼない世界ですが、時間いっぱい稼働するのが理想的とされるため、体力と気合がないと長続きしないのです。
実際に、飲み屋と風俗の経験がある元・夜職のAさんにインタビューしたところ「どちらも体力がなさすぎて、3年と続きませんでした」と本音がポロリ。Aさんは成績は悪くなく、可能な限り継続したい気持ちを持っていたものの、早々に身体が悲鳴をあげたのです(以下『』内、Aさん談)。
『あまりお酒が強くないのに無理して頑張っていたら、毎日具合が悪かった。二日酔いを頻繁に起こすしいつも身体がダルい。すっきり起きられた日なんてほぼないです』
Aさんはキャバクラ勤務から2年が経過した頃、風俗業へと挑戦。出勤日数を週4日へ減らし、酒浸りの生活からサヨナラできたと思ったら、別の問題が見事に浮上してしまいます。
『高級店にいたので出勤時は常に12時間待機、1回の接客が120分とパワーが要される部分は飲み屋と何も変わりませんでした。週6日勤務から4日に減っても、結局稼働時間はほぼ変わりませんでしたし……』
おまけに元キャバ嬢ということを明かすと、お客さんが気を利かせて良いお酒をプレゼントしてくれるなど、ありがた迷惑な事態へと発展。時にプレイルームで「一緒に飲もうか」なんて言われる日もあり、キツかったと彼女は語りました。
夜職に向いていないことを知ったAさんは3年間のナイトワーカー期間を経て、現在は昼職へ転職したそうです。
お金を稼ぐという時点で、どんな仕事もラクではありません。だからこそ「夜職はラク。昼職はキツい」なんて思ってはいけませんし、その逆もまた然りなのです。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。