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「ガス室の直前だった命」山に捨てられ骨が浮き出ていた犬が、こたつで眠れるようになるまで

渡辺 晴子 渡辺 晴子

山に遺棄され、全身の骨が浮き出るほど痩せ細った状態で保健所に収容された一匹の犬。引き取り手が現れなければ、ガス室に送られる…そんな瀬戸際で命をつないだ。

その犬は今、こたつ布団からぽっこりとしたお腹をのぞかせ、ぬくもりに包まれて眠っている。大阪府豊能郡能勢町を拠点に活動するNPO法人アニマルレスキューたんぽぽがX(旧Twitter)に投稿したビフォーアフターの姿が、多くの人の胸を打った。

「常におびえ、音にも人にもビクビクしていた」

保健所に収容された当初、その犬はガリガリに痩せ、常におびえた様子だったという。

「音にも人にもビクビクして、なでようとすると身をすくめてうずくまる状態でした。過去に暴力を受けていた可能性が高いと感じました」

病院で検査すると、長期間にわたる栄養失調により臓器が萎縮し、肝臓などにも深刻なダメージが出ていた。“常に飢えていた”可能性が高い状態だったという。

治療と医療食を続ける中で、少しずつ体調は回復。同時に、犬の表情にも変化が現れ始めた。

「この子に家族を」動物愛護精神あふれる里親夫妻との出会い

この犬を迎え入れたのは、京都府舞鶴市に住む優しい夫妻だった。夫妻は日頃から野良猫の世話も続けており、動物愛護への理解が深い里親だった。

新しい名前は「モモ」。だが、暮らしは決して簡単ではなかった。

「散歩も含め、すべてが一からでした。一般の家庭犬なら普通にできることが、モモにはなかなかできませんでした」

特に散歩は困難を極めた。人を怖がり、一歩も進めないこともあったという。夫妻は人通りの少ない夜間を選び、道を工夫しながら、毎日モモと向き合い続けた。

夜の散歩を重ね、少しずつ世界が広がった

根気強い関わりの積み重ねにより、モモは次第に変わっていった。家に来る人や知り合いに対しては恐怖心が薄れ、落ち着いて過ごせるように。散歩も、今では楽しめるようになった。

それでも、知らない男性の声や子どもに対しては、今も強い恐怖心を示すという。過去のトラウマは、簡単には消えない。

それでも…「今では、保護当初からは想像できないほど丸々として、心身ともに元気です」

団体に遊びに来るモモの姿は、レスキューした側にとって何よりの励みになっている。

「幸せな写真が届くたび、レスキューしてよかったと思う」

里親から届く写真には、こたつでくつろぐモモの姿がある。かつて“処分寸前”だった命とは思えない、穏やかな表情だ。

「これからもご夫妻の深い愛情に包まれて、モモの心に残る恐怖やトラウマも、きっと少しずつ消えていくと思います」

“助けられた命”のその先を、私たちはどう支えるか

モモがこたつで眠れるようになるまでには、多くの人の手と、時間と医療と、そして覚悟があった。処分寸前だった命が、今こうして“幸せ太り”できる現実。それは奇跡ではなく、人の選択の積み重ねだ。この先も同じような命を救うために、私たちにできることが問われている。

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