私財を投げ打ち、不遇な動物たちを保護・終生飼養する活動を約30年続けている特定外来生物飼養許可施設「一般社団法人 ワニガメ生態研究所」(@kanameogino)の所長、荻野 要さん。
荻野さんのもとには、人間の身勝手で輸入され飼育放棄されたワニやワニガメ、カミツキガメなどの特定外来生物や、ドゴ・アルヘンティーノやカネ・コルソなど、一般では飼養が難しい保護犬、保護猫たちがのびのびと暮らしている。
そんな荻野さんが、「引き取ったころのエースと今のエース」 というつぶやきと共に、約5年半前に引き取った闘犬種、ピットブルテリア(アメリカン・ピット・ブル・テリア)のオス、エースくんのビフォーアフター写真をX(旧Twitter)に投稿。
たっぷりと愛情を注いでくれる「とーちゃん」(荻野所長)のもとで暮らすうち、別犬級に変貌したエースくんに驚きの声が殺到した。
「自分は捨てられたんだ…」
「心が穏やかになると顔つきも全然違う」
「毛艶もお顔も別犬さんですね」
「愛されてるんだろうなあということがよくわかってとてもいい」
「(瞳が)キュルンとして若返りましたね!」
「左は『お前誰やねん?触んな!』右は『ねえ、何して遊ぶ?』って感じ」
「ずっときつかったんだろうね」
荻野所長がエースくんを保護したのは、2020年の7月。
「『知人が家庭の事情で飼えなくなって困ってる』と友人から頼まれたのが保護のきっかけでした。エースはまだ1歳になっていませんでした」(一般社団法人「ワニガメ生態研究所」荻野さん)
艶のない被毛と険しい表情で写る保護直後の画像からもわかる通り、引き取った当時のエースくんは心を閉ざし、「拒食状態」だったそうだ。
「獣医師の診断によると、両膝に先天性の病があり、その痛みが原因で食べなかったのだろうとのことでした。すぐに両膝の大手術をしました。痛みと空腹、そして何より『自分が捨てられた』と自覚してからは、5年半前の写真のように目じりがつり上がり、イライラしているような状態が増えました」(一般社団法人「ワニガメ生態研究所」荻野さん)
保護動物と向き合う際の心がけ、とは?
荻野所長のもとにいる保護犬たちは皆、エースくんと同じような境遇や事情で引き取られたガードドッグや猟犬種。
「『手に負えないから依頼される』わけなので、どの犬も普通の大型犬ではありません。人を襲ったコもいたので、毎回命懸けで向き合っています。大型の闘犬や狩猟犬、ガードドックは頭がいいですから、『自分が飼い主から見放された』と自覚すると、目の奥が濁り、心を閉ざし、気性が荒くなります。そのコたちと向き合うのですから『命懸け』は当然ですね。
実際は爬虫類にやられた傷も多々ありますが、両腕だけで150針くらいは縫っています。保護動物と向き合う上で気を付けているのは、『殺されないようにすること』です」(一般社団法人「ワニガメ生態研究所」荻野さん)
心から信頼できる飼い主「とーちゃん」(荻野所長)のもと、保護犬仲間と楽しくじゃれあいながら6歳になったエースくん。
「今ではいちばんのお利口さん」というエースくんだが、それでもパワーやエネルギーはやはり闘犬種の「ピットブル」。気を抜かずに向き合うことを心がけているそうだ。
※一般社団法人「ワニガメ生態研究所」は私設の特定外来生物飼養許可施設です。一般公開(見学・訪問)や動物の展示・販売、一時預かりなどは一切行われていません。
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