葵祭や時代祭で活躍する京都府警の平安騎馬隊が今秋から馬の維持費を賄うためのクラウドファンディング(CF)を始めた。物価高に伴い飼料代や馬ふんの処理費が高騰し、財源がひっ迫しているためで、府警は「馬のおまわりさんが健康に活動できるように協力してほしい」としている。
同隊は1994年に平安遷都1200周年を記念して設立。「愛宕号」「大江号」など、京都の山の名前が付けられたサラブレッドなど6頭が所属する。祭礼行事の先導や警備を担うほか、府内各地で児童の登下校の見守りや交通安全イベントに出動している。
警察の騎馬隊は府警のほか、警視庁と皇宮警察にしかない全国でも珍しい組織だ。一方、府警が頭を悩ませているが馬の維持費だ。
平安騎馬隊には馬の管理費や運営費として年間約1100万円の予算が充てられているが、物価高で馬の餌となる牧草や飼料価格が高騰。限られた予算の中で、飼料業者の選定を工夫するなどしてやりくりしているという。
近年は予算のほとんどを飼料代に充てざるを得ない状況で、老朽化した馬具や隊員の訓練服を新調できない状況という。劣化した馬具を使い続けると馬が擦り傷などを負い、乗馬できなくなる恐れもあり、活動への影響が懸念されている。
そこで、隊の安定的な運営に向けて活動費を賄おうと、ふるさと納税制度を利用した「ガバメントクラウドファンディング」を企画。府警初の試みで、10月1日からスタートした。
目標金額は500万円で、10月15日現在で全国の151人から約230万円が寄せられている。集まった寄付金は馬の飼料費や健康管理、くらなどの修繕に充てられるという。
6頭の世話をする騎馬隊の侍来幹人副隊長は「平安騎馬隊は全国で見ても珍しく、京都らしさのある部隊。いただいた寄付は活動で返していきたい」と話す。
CFはサイト「ふるさとチョイス」で12月31日まで実施。府警のホームページからアクセスできる。